NHKスペシャル

MEGAQUAKEⅡ 巨大地震 第2回 津波はどこまで巨大化するのか

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どこまで津波は巨大化するのか、そして次のリスクはどこに潜んでいるのか。東日本大震災から1年、世界の津波研究者たちは、今回得られた津波のデータや過去の巨大津波の痕跡=“地球の記憶”を手がかりに新たな闘いを始めている。東北を襲った津波の詳細な分析から明らかになってきたのは、地震が複雑に・時間差で連動していくことで、津波が増幅していく巨大化のメカニズムだ。また、過去の津波の堆積物や巨大津波石の調査からは、世界各地で今回と同じような超巨大津波が数百年の周期で発生していることもわかってきた。この地球の記憶が警告しているのは、「世界は巨大地震が連鎖する“活動期”に突入したのではないか」という可能性だ。次々と明らかになる巨大津波の新たなリスクにどう備えるのか。世界の第一線の津波研究者たちに密着し、その最新の研究成果を紹介。数十万通りのシミュレーションから巨大津波の「最悪のシナリオ」をあぶり出し、特撮CGによって想定外の被害を詳細に描き出す。

放送を終えて

放送から間もない4月11日、ニュースを見て驚きました。インドネシアのスマトラ島沖でマグニチュード8.6の地震が発生し、巨大津波の危険性があるというのです。結局大きな被害は発生しませんでした。しかし、スマトラ島沖で今後も巨大地震が起こるという、番組で紹介した研究者の指摘どおりになるとは・・・。「地震はいつ起こるのかわからず、起こるときには常に人の不意をつく」。取材中に、何度もうかがった事実を改めて思い知らされました。
スマトラ島沖だけでなく、日本でも地震・津波の連鎖が起きる可能性を指摘していたのはケリー・シー教授です。世界的な地震研究の権威である教授のスケジュールは分刻みで、まさに多忙を極めていましたが、一方で現地の自治体関係者やNGOスタッフとの会合をとても大切にしていました。一緒に防災計画をつくるためです。「研究外の活動も大変なのですね…」私がうかがうと、教授は「2004年の事が頭からはなれないのだ」と話してくれました。スマトラ島沖地震・津波の惨事が、念頭にいつもあるのだと思い知りました。
不意をついて襲い来る巨大津波。東日本大震災後、私たちは、その脅威とどのように向き合うべきなのでしょうか。この番組が、多くの人にとって考える契機となり、津波防災・減災の一助となれば幸いです。

ディレクター 中嶋昌克