NHKスペシャル

復活 ~山田洋次・SLを撮る~

代表作「男はつらいよ」から藤沢周平の時代劇まで、常に日本の良き時代、良き日本人の姿や魂を描き続けてきた映画監督、山田洋次さんが、あしかけ3年間にわたってSL「C6120」の修復・復活を映像で記録した、山田監督の初テレビドキュメンタリー。山田さんは少年時代、満鉄のSL技術者だった父にその素晴らしさを教えられ、以来、その魅力のとりことなってきた。
2009年12月、伊勢崎市華蔵寺公園に静態保存されていた巨大なC6120 が、JRの大宮工場に運びこまれ、営業運転に向けて再び命を吹き込むという一大事業が始まる。SLの修復は今日でも職人の勘や人間同士の阿吽の呼吸が勝負。一旦バラバラにされた2万個もの部品が一つずつ丹念に積み上げられ、人の手によって息を吹き返していく。そして修復作業のスタッフには、ベテラン職人から若いゲーム世代まで、様々な世代が入り混じる。山田さんは、現場の人々に語りかけてその声に耳を傾け、現代に生きる日本人の肖像までをあぶりだしていく。
戦後は日本の復興の象徴であった「SL」。死に体だったSL復活のドラマと、それを取り巻く人々の奮闘、そして強い思いを描くことで、東日本大震災で打撃を受け、将来への不安を抱えている現代日本人と日本社会へ向け、力強い復活へのエールを届けたいという、山田洋次さんの思いがこめられた番組である。