NHKスペシャル

防災力クライシス そのとき被災者を誰が救うか

6434人が亡くなった阪神・淡路大震災の衝撃は、自治体に通信網の整備や防災計画の策定などを促し、住民には「自助」「共助」が必要だと認識させた。しかし、あれから16年。今、多くの自治体は財政難や職員減、市町村合併などで、積み上げてきた防災力が機能しなくなる事態に直面し、住民の側でも、高齢化やコミュニティの崩壊を背景に、災害への備えの劣化が進む。
 
防災は、新たな仕組みづくりを求められている。
兵庫県佐用町では、死者・行方不明者20人を出した、2009年の豪雨災害をきっかけに、防災計画の修正を迫られた。行政だけでは災害から住民を守ることが困難だと訴え、避難の誘導など、被災直後の役割の一部を、住民にも担って貰う為の話し合いを始めた。また、東京都新宿区では、病床数など医療資源が減少する中で、地震直後の救急医療の一部を、昼間、この地域にいるオフィスの会社員や大学生などにも担って貰うという試みが模索されている。
想定を超える災害が頻発する今、従来、住民の生命を守る責務を負ってきた自治体の対応はどうあるべきか。そして、私たち住民は何をすべきなのか。命を守る新たな仕組み作りを迫られた最前線から考える。