NHKスペシャル

天空の一本道 ~秘境・チベット開山大運搬~

中国、最後の秘境・ヤルツァンポ大峡谷。西チベットに源を発するヤルツァンポ河が、ヒマラヤ山脈の東端、標高7782mのナムチェバルワ山をう回して南に大きくカーブする大湾曲部。峡谷の深さは数千mに及び、切り立った絶壁が500kmにわたって続く、世界一の大峡谷といわれる。
峡谷一帯はインド洋から吹きあがるモンスーンの湿潤な気流によって豊かな生態系を成し、原生植物の宝庫となっている。その最深部に点在する村の一つ、ジャラサ村は7つの集落に600人が暮らす。村人はチベット仏教を信仰する少数民族・メンパ族とローバ族の人々。主食のトウモロコシなど急斜面に畑をつくり、自給自足の生活を営んでいる。
ここには現在も自動車道路が通じていない。米や塩、医薬品など生活必需品は、何日もかけて4650mの峠を越えて運ばねばならない。毎年8月、雪に閉ざされた山道が通行可能になると、峡谷の村の人々が運搬隊を組み、人馬を連ねた「開山大運搬」がおこなわれる。
番組では、大自然の中で暮らすジャラサ村の人々の「開山大運搬」に密着。物資が集まるチベット高原のポメの街を出発し、目もくらむ断がい絶壁を行き、ヒマラヤ東端の頂を越え、原生林を抜けて、大峡谷の集落を目指す。命がけで運ぶのは、米や油、子供のおもちゃから窓枠のサッシ、そしてタンスや洗濯機まで。外界と隔絶された人々の夢や幸せを背負って、運搬隊はヒマラヤを越える。
現地は中国・インド国境地帯に近く、これまでメディアによる取材は許可されなかった。今回、初めての取材が可能となり、大峡谷の壮大な絶景を行く運搬隊の厳しい行程をハイビジョンならではの映像でたっぷりと伝える。