NHKスペシャル

“テロリスト”と呼ばれて

9.11同時多発テロ事件から9年―。「テロとの戦い」を掲げたアメリカは、テロを力で抑え込もうとキューバの米軍基地内にグアンタナモ収容所を設置。テロリストの疑いありと判断した人物を次々と拘束し、700人をこえるイスラム教徒を収容してきた。しかし、グアンタナモで行われた拷問に近い取り調べや、法的根拠の乏しい無期限の拘束は、逆に、アメリカに対するイスラム社会の憎悪を一層深めたにすぎなかった。

去年就任したオバマ大統領は、その負の連鎖を断ち切るため、グアンタナモを1年以内に閉鎖すると決定。閉鎖こそが、失墜したアメリカの威信を回復し、国家の安全につながるとした。しかし、新たなテロ未遂事件が起こるたびにアメリカ国内の反対論が高まり、期限が過ぎた今も閉鎖に至っていない。

アメリカに“テロリスト”とレッテルを貼られたグアンタナモの元収容者たち。彼らの証言を通して、今なおテロの封じ込めに苦悩するアメリカの姿を描く。