NHKスペシャル

私の声が聞こえますか ~植物状態からの帰還~

目は覚めていても、呼びかけには応えることがない「植物状態」の患者。交通事故や脳卒中などで脳に損傷を受け、意識を失っている状態だと考えられている。“回復の見込みが薄い”としてこれまでは積極的な治療は行われてこなかった。しかし最新の脳科学によって、植物状態の患者でも回復の可能性があることが明らかになってきた。
日本大学医学部では、患者の体内に埋め込んだ電極から、脳に直接電気刺激を送る治療を行ってきた。電気刺激によって残った脳細胞を活性化させようというもので、実際に多くの患者がこの治療を受けて回復している。また茨城県の病院では看護師を中心に患者に様々な姿勢をとらせたり、味覚や聴覚など全身の感覚を刺激したりすることで状態を改善する取り組みが行われ成果をあげている。これらは治療が不可能だと考えられてきた植物状態の常識を変えるものとして、世界的にも高く評価されている。
見過ごされてきた「植物状態」の患者。その治療の最先端の現場で、植物状態から回復していく患者の姿を記録し、人間の回復力と脳の未知なる領域での変化を描く。