NHKスペシャル

奥アマゾンの神秘 サル王国の謎に迫る

ペルーのマヌー国立公園。アマゾンでも特に動物の種類が多く、中でもサルは13種類を数えるサルの王国である。このジャングルの中に、ぽっかりと開いた直径20mほどの空間がある。そこは高い木の上で暮らしほとんど地上に降りることがないサルたちが集まり、地上に降りて不思議なことをする。なんと土を大量にむさぼり食うのだ。時にはそのサルを狙ってジャガーなどの肉食獣も出没する。なぜサルたちは危険を冒してまで地上に降りて土を食べるのか。植物を食べて酸性化した血液を中和するためとも、植物の毒を吸着するためとも、ミネラルを補給するためとも考えられている。マヌーは、乾燥化が進んだ氷河期でも森が残り、動植物のいわば「ノアの箱舟」となっていた場所。狭くなった森で動物たちは厳しい生存競争に直面し、いかにライバルが手を出せない食べ物を獲得するかが生き残りの鍵となった。そこで植物食に偏ったリスクを、土を食べる知恵で克服し生存競争を勝ち抜いた、つまりこの場所は進化の舞台の一つだと考えられるのだ。奥アマゾンの謎の空間で繰り広げられるサルたちのふしぎな生態を追いながら、数百万年の時を超えたアマゾンの生物進化の謎を探る。