NHKスペシャル

引き揚げはこうして実現した ~旧満州・葫蘆(ころ) 島への道~

遼寧省・葫蘆島。62年前、この島から100万を越える日本人が引き揚げを果たした。近年、台湾・アメリカの資料が公開され、この引き揚げ決定をめぐって米、中、ソ連が激しい駆け引きを繰り広げたことが明らかになった。

1945年8月、ソ連の満州侵攻を機に中国東北部はソ連・中国国民党・共産党、三つ巴の「草刈り場」となった。棄民となった日本人技術者を復興に「留用」しようと取り合いが始まる。当初、絶望的と思われていた引揚げ。しかし、終戦から2年ほどでほぼ完了する。なぜかー。
実は1946年、上海で米中の極秘会議が開かれ、引き揚げが決定されていた。船はアメリカが用意し、まず国民党軍を華南から華北に輸送。同時に100万の在満邦人を引き揚げさせるという一石二鳥の戦略。引揚げは、国共内戦でアメリカの国民政府支援の一環だった。そして、ソ連との折衝の末、共産党の影響が及ばない葫蘆島が選ばれる。
番組では、発掘された米中会議の記録をもとに、大国の駆け引きを明らかにする。また、葫蘆島の収容所跡に初めてカメラを入れ、冷戦前夜の激流に飲み込まれた日本人引き揚げ者の姿を描く。