NHKスペシャル

さまよえる がん患者

日本人の死因の第1位、年間30万もの人が亡くなる「がん」。多くの患者の声に押され、2年前、「がん対策基本法」が成立した。しかし法律はできたものの、医療体制の整備は進まず、多くのがん患者はいまだ不安と苦しみの中で闘病生活を続けている。
法律では、早期発見から治療・療養・看取りまで、地域の病院や開業医などが連携し、「切れ目のない医療」を築くことが謳われた。ところが「切れ目のない医療」とは名ばかり。国が進める医療費削減政策の中、手術を終えた患者は早く退院するように迫られる。しかし地域で引き受けてくれる医者が見つからず、行き場をなくし途方に暮れる…。そんな例が続出している。
理念ばかりが先行し、体制整備が追いつかない「がん医療」。そんな現状を何とかしようと、病院や開業医が自ら立ち上がり、患者を支えるネットワークづくりが始まっている。神戸市西部の医師たちの取り組みを追いながら、真に患者が望むがん医療を打ち立てるためには何が必要なのか考える。