NHKスペシャル

よみがえる浮世絵の日本 封印が解かれた秘蔵コレクション

1921年にボストン美術館に寄贈されて以来、封印されてきた6500枚の浮世絵版画がある。「スポルディング・コレクション」。一昨年から調査が進められ、浮世絵の歴史を書き替える幾つもの新事実が明らかになってきた。はじめて錦絵=多色摺版画を世に出した鈴木春信。“色彩革命”とも言うべき作品が、どのようにして誕生したかは、大きな謎だったが、コレクションは、その過程に周到な色彩実験があったことを示唆する。また、写楽を凌駕するとさえ言われながらも作品が少ないため「幻の絵師」とされた歌川国政の傑作が多数眠っていた。天才絵師の実像とは?そしてなぜ幻となったのか?
さらに「東海道五十三次」などで知られる巨匠・広重の知られざる作品も発見された。そこからは、幕末の日本で失われゆく江戸の風景を描き残そうとした絵師の知られざる葛藤が浮かび上がる。
江戸の美を版画の中に表現しようとした絵師たちのドラマ。番組では学習院大学小林忠教授らの協力で秘蔵作品を分析しつつ、浮世絵の「日本」美誕生の軌跡を読み解いていく。