NHKスペシャル

北極大変動 第2集 氷の海から巨大資源が現れた

温暖化による海氷面積の縮小により、北極圏に眠る石油・天然ガスを採掘する資源開発競争が始まった。その開発は新たな二酸化炭素の排出を招き、負の連鎖を引き起こす。北極圏開発の光と陰を描く。

<詳細>
地球温暖化による海氷面積の縮小は、エネルギーを求める人類の欲望に火をつけた。北極海の海底に眠る莫大な量の地下資源を巡って激しい開発競争が始まったのだ。世界第3位の原油輸出大国・ノルウェーは北極海初となる本格的な海底ガス田の開発に成功した。最先端の技術で海底下2300メートル の天然ガスを生産し、世界に向け出荷している。氷の下の資源は巨額の富を生みだし、極北の小さな街は空前の好景気に沸く。

一方、エネルギー大国・ロシアは北極点の海底に潜水艇で潜り国旗を設置、本格的な海底調査を実施した。北極点を含む海域の開発権を主張するのが目的だ。資源開発はさらに過熱し、韓国では北極海での原油の輸送を目的としたロシア向け砕氷タンカーの建造が相次いでいる。

しかし、北極の資源開発は新たなCO2 の排出を招き「負の連鎖」を引き起こす。その連鎖を断ち切るためにノルウェーではCO2を地中に封じ込める試みも始まった。

人類は温暖化を食い止める事ができるのか、それとも温暖化という危機でさえも欲望達成の手段として利用するのか。北極圏開発の光と影を追う。