NHKスペシャル

混迷 パキスタン ~崩れたアメリカのシナリオ~

ブット元首相の暗殺で、総選挙の実施を巡って混乱を極めるパキスタン。アメリカが“テロとの戦い”の最前線と位置づけてきた国家が今、大きく揺らいでいる。

アメリカの政治・経済的支援を得て安定していたかに見えたムシャラフ政権。しかし昨夏の「赤いモスク事件」以降テロが急増、ついに元首相が暗殺されるに至った。国民の怒りの矛先は、治安を回復できないムシャラフ政権に向けられている。1月に予定されていた総選挙は2月18日に延期されたが、混乱が収まるかは不透明だ。選挙の結果次第では更なる混乱を招きかねない。
ここへきて急激に情勢が不安定になったパキスタンだが、その根をたどると、30年間に及ぶアメリカの対パキスタン政策に行き着く。現在の混乱は、その“失策”が一気に吹き出した形だ。混乱に歯止めがかからなければ、テロリストへの核の流出も現実味を帯びかねない。

選挙を巡る混乱、台頭するイスラム過激派の動向、そして内実を知る関係者の証言を取材し、アメリカの誤算が生み出した“パキスタン危機”の本質に迫る。