NHKスペシャル

平成19年度 科学放送高柳記念賞 受賞作品
赤ちゃん 成長の不思議な道のり

「私たちの一生で、もっとも脳の潜在能力が高いのは、いつの頃か?」―――この問いに最新科学が明らかにした答えは驚くべきものだ。じつは生後8か月頃から1歳前後だというのだ。脳のなかで神経細胞同士の情報伝達を担うシナプスはその時期ピークに達したのち、早くも減少に転じてしまうのである。生まれた直後の赤ちゃんの知覚能力がきわめて高いこともはっきりしてきた。たとえば、赤ちゃんは世界中の言語の微妙な発音の違いも区別できる。つまり私たちは、いったんできたことが成長とともにできなくなるという不思議な道のりをたどっているのである。いったい、なぜそんな遠回りと思える道のりがあるのか?
そこには、人間らしい能力を獲得・発達させるための秘密が隠されている。赤ちゃんの最新研究からは、自分の環境に最も適した能力を選びとっていく姿が浮かび上がってきた。番組では、赤ちゃんの1年にわたる成長を実際に追い、最新の測定技術を駆使して画像化した赤ちゃんの不思議な成長のプロセスを探る。