NHKスペシャル

A級戦犯は何を語ったのか ~東京裁判・尋問調書より~

東京裁判(極東国際軍事裁判)開廷から60年。戦後体制の見直しが唱えられる中、裁判の意味と戦争責任の問題を問い直す声が強まっている。

東京裁判で「平和に対する罪」で起訴された28人の被告。このA級戦犯はどのようにして選ばれたのか――。その経緯を物語る2万6300ページに上る尋問調書がアメリカ国立公文書館に眠っている。東条英機、広田弘毅、松井石根、土肥原賢二……日本の中枢にいた政治家、軍人、官僚ら、錚々たる顔ぶれが並ぶ。
当時、アメリカ、イギリス、ソ連、中国などからなる国際検察局のスタッフは、100名を超える容疑者の中から、尋問、調査によって「被告」を選び出していった。昭和20年12月から、翌年の4月にかけて、巣鴨プリズンの密室で厳しい質問を浴びせられる。その一問一答が克明に記録されていた。戦犯容疑者と検察官の攻防からは、連合国と日本の戦争観、責任論の違いが浮かび上がってくる。
さらに去年、国立公文書館で法務省が保管してきた戦犯関連の資料4000冊が公開された。文書からは当時、日本側がどのような弁護対策を立てて、裁判に臨もうとしていたのかが明らかになってきた。
番組では巣鴨プリズンの取調室を再現。記録に忠実な再現ドラマによって密室の攻防を描く。また、当時の関係者を世界各国に取材。A級戦犯選定の過程を明らかにし、戦争責任をめぐる議論の出発点を浮き彫りにしていく。