NHKスペシャル

大都会の海 知られざる東京湾

沿岸の河川を通して約3000万人の生活排水が流れ込む大都会の海、東京湾。昭和40年代半ばには工場排水や生活排水による水質悪化で“死の海”とまで言われたが、水質改善対策が進み、現在は、驚くほど多くの生き物の営みが見られるまでに海が蘇ってきている。江戸前の復活である。夏がとりわけ美味しい白身魚スズキは、東京湾での漁獲量が全国の約30%を占める。水質が良くなったとはいえ、3000万人の生活排水が注ぎ人工的な構造物に取り囲まれた東京湾で、生き物たちはいったいどう過ごし、どう育っているのか。最新の潜水撮影技術を駆使して東京湾の海の中を四季を通じて取材した。豊富なプランクトンを求めて臨海副都心のかたわらの浅瀬に集まる小さな魚たち、工場の排水口の周囲に集まる魚の群れ、水中のコンクリートブロックにできあがった生態系、黒潮の水が混ざる場所での命の誕生など、水面下には知られざるさまざまな光景がある。大都会と隣り合わせの身近な海、東京湾。季節ごとに繰り広げられる生き物の営み、そして人と自然の関わりをダイナミックに紹介する。森本健成、中條誠子、2人のアナウンサーが案内人。