NHKスペシャル

脱談合 ~きしむ“最後の日本型システム”~

NHKではある地方の公共工事を巡ってこの春行われた談合の様子を伝える詳細な記録を入手した。記録から見えてくるのはきしむ談合の姿だった。長年、日本社会に染みついてきた談合システムがいま崩れ始めている。福島・和歌山・宮崎の3県で知事逮捕に発展した官製談合。大手ゼネコン5社が摘発された名古屋の地下鉄談合…。しかし、相次ぐ事件の裏では“脱談合”の流れが着実に進んでいる。発端のひとつは公正取引委員会が打ち出した大幅な罰則強化。これを受けてスーパーゼネコンは一昨年末、脱談合を申し合わせ、大手ゼネコンを中心に業界をあげて談合から訣別する取り組みを続けている。地方では公共事業の削減によって、これまで仲良くパイを分け合ってきた中小業者間の談合が成り立たなくなっている。税金を食い物にする犯罪である一方で、仲間内で富を配分しあう日本型システムとして機能してきた談合。労働人口の1割が携わる業界を支配してきたシステムが崩壊する時、何が起こるのか? 混沌の先に新たなシステムはあるのか? 談合の記録、あるゼネコンの脱談合の取り組み、そして厳しい競争の時代を迎えた地方の中小業者。3つの現場を通して“脱談合の衝撃”を描く。