NHKスペシャル

にっぽん 家族の肖像 第2集 大家族の夢

ブラジルに70年前に移住して以来、日系人だけで共同生活を送っている農場がある。27家族86人の4世代は、長い間日本語や日本文化を大切に守り、現代の日本よりもむしろ「良き日本の家族」を体現してきた「大家族」だった。その、いわば理想の共同体に、去年大きな波紋が広がった。一人の娘が、ブラジル人と結婚したいと申し出たのだ。言葉の壁や日本風の共同生活。果たしてブラジル人が馴染めるのか。「日本人」としての「血」を守らなくて良いのか。農場で連夜の大議論が始まった。「絶対許せない」「結婚するなら農場を出るべきだ」という激しい意見や、「過疎の村のように結婚相手もいなくなる現状をどうするのか」という容認論。その狭間で、母は泣いた。二人は、取り合えず農場を出て近くに家を構えた。一つの「結婚」は、「大家族」にあらためて「家族とは何か」を問うた。現代日本にも通じる「結婚」を巡る葛藤を、日系ブラジル人大家族の絆の中に見つめる。