NHKスペシャル

情報テクノロジーは命を救えるか 阪神・淡路大震災の教訓は、いま

災害救助は、時間との闘いだ。がれきの下に埋もれた人は、刻一刻、弱っていく。被害の全貌をいち早く把握し、急を要する所から優先的に手をさしのべていかなければ、多くの命を救うことはできない。12年前の阪神・淡路大震災では、初動で有効な情報を集めることができなかった。こうした教訓を糧に、いま国や自治体では、最先端の「情報テクノロジー」の導入が進められている。被災地の状況をいち早く映像伝送できる最新鋭ヘリコプターの増強配備。24時間どんな天候でも撮影できる人工衛星の実用化。瞬時に被害を推定できるコンピュータ・システムの開発…。さらに、ハイテクだけでなく、住民パワーを活かした情報収集体制の構築も各地で始まっている。しかし、その一方で、新たな課題も浮かび上がってきている。テクノロジーを駆使して集まった膨大な情報に、担当者がいかに対応するかという問題だ。「情報の洪水」、あるいは「情報の氾濫」とも呼べる状況に対し、いかに混乱せず的確な判断を下せるか、情報を生かすも殺すも最後は人間次第、ヒューマンファクターにかかってくるのだ。情報テクノロジーの最先端を取材し、進化する技術をいかに人命救助に結びつけるか、その可能性と課題を検証する。

<キャスター> 住田功一アナウンサー(NHK大阪)