標高４０００メートルにある巨大な砂漠。砂の中からは泉がこんこんと湧き出し、砂漠を水が取り囲む不思議な世界が広がっている。

中国西部、新疆（しんきょう）ウイグル自治区　“アルキン山自然保護区”は、周りを６０００メートル級の山々にさえぎられた九州ほどの広さがある高原盆地。砂漠に隣接して雪山や草原も混在する特異な自然は、随所に独特な景観を作り出している。
ウイグル語で“黄金の山”を意味するアルキン。今回、世界で初めてアルキン山自然保護区の長期取材が許可された。

外の世界から遮断、完全に保護されてきたアルキンは、野生生物の宝庫となっている。世界的にも非常に希少な動物の姿と、その不思議な生態、また、寒冷・乾燥の高地で独自の進化を遂げた奇異な形状の植物…。世界で初めて撮影された貴重な映像が続く。

冬、自然保護区の気温は零下３５度になる。取材班は、そこで幻の動物・チルーを探す。チルーは、カシミアより良質で世界一細い毛を持つ中国の固有種で、近年密猟によって数が激減し、絶滅が危惧されている。繁殖期でもある冬のチルーを捉えた映像はほとんどなく、極寒の保護区でチルーの撮影に挑む。番組では、保護区で暮らす遊牧民も取材、これまで外国はもちろん中国国内でも殆ど知られていない極限の地の素顔を紹介する。