NHKスペシャル

同時3点ドキュメント 第3回 「ふたりの命」

シリーズ3回目は、臓器移植を待つ日米ふたりの赤ちゃんの命をめぐる物語である。
生後11か月の神達彩花(かんだつあやか)ちゃんは、生まれながら腸が機能しない難病に冒されていた。余命1か月と宣告された彩花ちゃんを救う手段は、内臓を丸ごと取り替える多内臓移植しかない。しかし日本では法律上子どもの臓器提供は禁じられており、両親は移植医療の先進国アメリカへ渡る決意をした。募金で1億円を超える費用を集め、12月上旬最後の望みをかけて、小児移植で最高の技術を誇るマイアミのジャクソン記念病院に向かった。

同じ時期、アメリカのジョージア州にも彩花ちゃんと同じ多内臓移植を待ち続ける赤ちゃんがいた。生まれながら「壊死性腸炎」という難病に冒されていた、1歳3か月のセーシャ・デイビスちゃんである。セーシャちゃんの余命も数か月、移植を受けるのも同じジャクソン記念病院だった。日米2人の赤ちゃんが同じ時期、同じ病院で、同じ多内臓移植を待っていたのである。

ドナーが現れたとき、その臓器を誰に移植するのかを決定するのが、臓器配分の決定機関、UNOS(United Network for Organ Sharing /全米臓器配分機関)である。完璧に公平性を期すために、人間の意志を排除し、コンピュータが患者の持ち点を計算、高い順番に臓器を割り当てていく。
番組では、2人の赤ちゃんとその運命を握るUNOSにカメラを据え、1分1秒を争う移植医療の時間との闘いを追う。