NHKスペシャル

全線建設はこうして決まった ~道路公団民営化・半年の攻防~

借金残高40兆円。利権と談合の温床と言われ、採算性を度外視して進められてきた日本の高速道路建設。その象徴だった日本道路公団は去年10月、地域別3社に分割民営化された。

民営化のスローガンは、今後の高速道路建設は「自主的な経営判断」を尊重して決めるというもの。しかし、2月に出た結論は、民営化以前の整備計画9342キロすべてを建設するというものであった。

この半年間、舞台裏で何が起き、このような結論になったのか。民営化会社の一つ「中日本高速道路」の内部にカメラを向け、高速道路建設をめぐる意志決定の実態を記録してきた。中日本高速道路の会長は、道路公団最後の総裁だった伊藤忠商事出身の近藤剛氏。近藤氏はこの半年、2兆円を超す建設費が見込まれる第二東名高速や、採算が取れないとされる中部横断道などの建設をめぐり、厳しい判断を迫られてきた。一方、道路建設の後退を危惧する地方自治体は、国に対して水面下で周到な働きかけを続けていた。

番組は、民営化会社と地方自治体との不採算路線の建設をめぐる密室の駆け引きを軸に、日本の高速道路建設の何が変わり、何が変わらなかったのかをドキュメントする。