NHKスペシャル

巨大穴 天坑 謎の地下世界に挑む

中国南部の山岳地帯で、「巨大な穴」が次々と発見されている。最大のものは直径・深さ共に600mに及び、これらの穴は、神があけた巨大な穴という意味で「天坑(てんこう)」と呼ばれている。

2005年11月から中国地質科学院が行ったこの「天坑」の総合調査に取材班が同行した。その調査は、超高層ビルに匹敵する数百メートルの絶壁をロープ1本で下降し、巨大な穴の底に降り立つ過酷なものである。

調査隊が目にした「天坑」の底には、暖かく亜熱帯のような原生林が広がり、独特の生態系が育まれていた。さらに「天坑」の底には巨大な地下世界への入り口となる洞窟があり、20個もの「天坑」同士が地下洞窟で繋がっていることが明らかになってきた。この地下洞窟には川が流れ、その総延長は700km以上に及ぶ。

地下洞窟へと分け入った調査隊は、激流が流れる大河、美しい音色を奏でる鍾乳石、地底湖、高さ300mにおよぶ巨大な地下空間など幻想的な風景と出会う。また、眼が退化し角とヒゲをもつ幻の魚など地下世界に息づく不思議な生物や200万年前のパンダの祖先の化石など太古の哺乳類の化石が発見される。

いったいどのようにしてこの巨大な穴と地下世界は作られたのか?番組は、「天坑」とそれに連なる不思議な地下世界を探検する冒険紀行である。