NHKスペシャル

永ちゃん 俺たちはもう一度走れるだろうか

1975年のソロデビューから30年、矢沢永吉さんは、56歳になった今も、全国でライブツアーを展開している。会場に詰めかけ「エーちゃん!エーちゃん!~~」と涙混じりに絶叫する40~50代のオヤジたち。彼らにとって永ちゃんは、ロックアーティストというだけでなく“人生の師”でもある。多感な青年期にYAZAWAと出会った男たちは、今、会社で、家庭で、大きな責任を背負いながら、不況、リストラ、心の病など、人生の逆風に立ち向かっている。
家族や教育をテーマに、日本を深く見つめてきた作家の重松清さん(42歳)は、高校時代から「成りあがり」をボロボロになるまで読み返してきた熱烈な矢沢ファン。故郷・山口県からの上京、サラリーマンから作家への転身と、矢沢永吉の言葉に突き動かされるように人生を走ってきた。
矢沢体験をした世代の人たちは、成り上がるために出てきた東京で、あるいは地方都市で、どう頑張り、何を手に入れることができたのだろうか。矢沢永吉にまつわるエピソードを募集したところ、500通以上が寄せられた。そこには、矢沢永吉が、自分にとっていかに大きな存在か、それぞれの熱い想いが長文のメールに込められていた。

寄せられたメールから

40歳男性(大阪)「自己破産し途方にくれていたが、永ちゃんに勇気づけられ死ぬ気で頑張れた。人は立ち直れるんだ。俺も負けるものか!」
41歳男性(奈良)「妻が交通事故の後遺症に苦しみ、子供たちが家事を手伝いながらの生活。一緒にライブへ行き、一家で永ちゃんに生きる力をもらいました」
40歳女性(東京)「去年の東京女子国際マラソン。心の中で“永ちゃん、永ちゃん・・・”と念じながら走りました。市民の部で4位に入賞することができました。永ちゃん、ありがとう!」

番組では、重松さんが、同世代の姿を通して今の日本を見つめる旅に同行する。

  • 全国でライブツアーを展開している矢沢永吉さん