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横浜・開港記念会館「ジャックの塔」が公開再開 米軍時代の新発見も

  • 2024年04月01日

横浜を象徴する3つの塔があるのをご存じでしょうか。
ジャック、クイーン、キング。
このうちジャックが、2年間の修復作業を経て4月1日に再公開されました。
見どころは?ジャックの名前の由来は?お伝えします。

ジャックは横浜市開港記念会館

横浜市開港記念会館

横浜市中区にある横浜市開港記念会館は「ジャックの塔」の愛称で知られています。
大正6年(1917年)、横浜港の開港50年を記念して、市民の寄付を募って建てられた公会堂です。
赤れんが造りの外壁と、高さ36メートルの時計塔、ドーム型の屋根などが特徴です。

華やかなステンドグラス

中には大正当時の雰囲気を残した講堂や、華やかなステンドグラスが設置されています。

ステンドグラスは、開国を迫ってやってきたペリーの黒船や、横浜の開港後に箱根を訪れる外国人の姿などがモチーフになっています。

外国人がかごに乗って箱根を訪れる様子

激動の時代を歩んで

建設直後の開港記念会館

開港記念会館は、横浜の象徴として激動の時代を歩んできました。
建設から6年後の1923年に発生した関東大震災で、時計塔と外壁を残して崩落。

震災後の開港記念会館

1927年には屋根のドームを除いて、当初の姿が復元されました。
戦後アメリカ軍に接収され、10年あまりに渡って進駐軍の兵士向けの映画館として利用されました。
市に返還されたあとは公会堂として、多くの演奏会や講演会が開かれ、市民に親しまれてきました。

黒船のステンドグラス

1985年に大正時代の設計図が見つかったことから、1989年にはドーム型の屋根も復元されて当時の姿を取り戻し、国の重要文化財に指定されました。

ジャックの由来は

「ジャックの塔」の呼び名は、神奈川県庁、横浜税関と並んで海から目立って見えたため、昭和の初めごろ船員がそれぞれ、ジャック、キング、クイーンと呼び始めたことが由来だとされています。
これらは横浜三塔と呼ばれ、いまも多くの観光客が訪れる、横浜のシンボルとなっています。

左:クイーン(税関) 中央:キング(県庁) 右:ジャック

改修工事終えて 再びオープン 

横浜市開港記念会館は老朽化のため、2022年から修復工事を行っていましたが、4月1日から再び一般公開が始まりました。
朝から観光客が次々に訪れ、ボランティアガイドに案内されながら、興味深そうに見て回っていました。

名古屋市から家族と訪れた53歳の男性は、「偶然、再開の初日に入ることができてよかった。ふだん来られない場所で、歴史を感じられました」と話していました。

91歳のボランティア

ジャックの塔には訪れる観光客らに歴史や見どころを伝えるボランティアガイド、「ジャックサポーターズ」が100人余り登録されています。

萩原英さん

萩原英さん(91)は16年前に「ジャックサポーターズ」が始まった当初からのメンバーです。
若いころ、当時アメリカ軍に接収されていたジャックの塔の向かいにあった郵便局で働いていて、魅力的な建物だなと気になっていたという萩原さん。

ガイドの募集が始まってすぐに申し込んだということで、横浜の歴史を学んだり、説明用の資料を手作りしたりと、工夫しながら、毎月2回活動してきました。

2年ぶりのガイドとなったきょうは、名古屋市から訪れた家族連れを案内し、建物の見どころのほか、「アメリカ軍が建物を接収した際、ステンドグラスに星条旗が描かれていたことに感動して、建物を大切にしようと思った」といった逸話を紹介していました。

萩原さん
多くのお客さんに喜んでもらえて楽しかったです。休んでいた間に準備していたことが報われた気がします。一度来てもらえれば歴史的な価値と、建物の魅力に 納得すると思うので、ぜひ足を運んでほしいです。

新たな発見も

新たに見つかった文字

一般には公開されていませんが、今回の修復工事では、地下室のしっくいの壁の下から「BARBERSHOP」という文字が新たに見つかりました。
戦後アメリカ軍に接収されて映画館になっていた際に、理髪店もあったとみられることが、分かったということです。

毎日無料公開

横浜市開港記念会館は、第2水曜日を除く午前10時から午後4時まで、無料で公開されています。

取材を終えて

開港記念会館が建てられた場所には、明治6年まで「石川屋」という生糸の店があり、日本の近代美術の発展に貢献した岡倉天心の父親が支配人を務めていたそうです。
ジャックの塔の敷地内には「岡倉天心生誕之地」と書かれた碑があります。

91歳の萩原さんにとって、階段を上り下りするガイドは決して楽ではないだろうと思って聞いたところ、「アイラブ、ジャック。この建物が好きで、魅力を伝えるのが楽しいんですよ」と笑顔で返ってきました。
萩原さんは、「この建物はミステリアスなところがあるでしょう。色々お話しすると皆さん興味深く聞いてくれるんです。戦時中に訪れたという人から、当時のことを逆に教えてもらったこともあります」と話していました。
たくさんの人たちの思いが、ジャックを魅力的に、ミステリアスにしているんだと感じました。

  • 岡部咲

    横浜放送局 記者

    岡部咲

    2011年(平成23年)入局。宇都宮局、首都圏局などを経て、横浜局。

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