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「世界最悪の状況」パレスチナ・ガザ支援続ける海老名のNPOは

  • 2023年10月19日

20年間ガザ地区で子どもの心のケアを行ってきたNPO法人が、海老名市にあります。
代表の医師は現地の状況について「水も食料も、医薬品も電気も止められている。外に逃げていくこともできない。世界でも最悪の状況だ」と話しています。

20年間ガザで支援活動

海老名市にあるNPO法人「地球のステージ」は、2003年からガザ地区南部で、心に傷を負った子どもたちのケアにあたっています。

地球のステージ

トラウマをとうまく向き合っていくためのプログラムを提供するなどして、これまでに3000人を支援してきました。
代表で医師の桑山紀彦さんも頻繁に現地を訪れ、2009年には空爆の最中に医療支援にあたりました。

桑山紀彦さん

世界で最悪の状況

桑山さんは現地のスタッフと毎日連絡を取っています。
電力不足で通信環境も悪い中、現地の人たちからは悲惨な状況が届いています。

左:モハマッド・マンスールさん

モハマッド・マンスールさんは、もともとNPOの支援を受けていました。
その後現地スタッフになり、いまは支援する側に回っています。
ガザ地区南部、エジプトとの検問所があるラファから、写真や動画を送ってきています。
桑山さんに現地の詳しい状況を聞きました。

撮影:モハマッド・マンスールさん

水もなく、逃げ場もない

水も食料も、医薬品も電気も止められています。もうそろそろ水が切れそうだという連絡がきています。人間が生きていくための基本の水が途絶えている。どのような思いで咽の渇きを癒やそうとしているのか、トイレの様子だって想像しただけで涙が出てきます。
電気は完全に止まっていて、連絡をとるのに苦労しています。みんなでバッテリーに携帯をつないで、10%とかわずかな充電で連絡してきている状態です。逃げようとしても壁に囲まれているし、国境の検問所は開かなくて逃げられない。世界でもあり得ない最悪の状況だと思います。

水の配給に並ぶ人たち/撮影:モハマッド・マンスールさん

住宅街にも空爆が

だいたい4、5年おきぐらいに大きな空爆があります。私は2009年に空爆のさなかにラファの病院で働き、爆撃で負傷した人の外科的な処置などをしていました。そのときは医療支援や物資配給、家が壊れたらセメントの提供とかもやっていました。今回は物資がすべて止まっている。

撮影:モハマッド・マンスールさん

住宅街も空爆を受けています。リーマさんという大切なスタッフがガザに住んでいて、高層アパートが倒壊するのを見たときに、『彼女のアパートじゃなかったかな』と思ったときの不安といったらありませんでした。家族を失うようなものですから。
しばらく連絡がとれなかったのですが、いまは音声メッセージが来るんです。リーマさんは冷静沈着な女性で、そのリーマさんがこんな声を出すのかという叫びのようなメッセージをくれました。本当につらいです。
スタッフのモハマッドからは、これまで弱音を聞いたことがないんです。そんな彼が『疲れた』という。これまでの戦争のレベルを遙かにこえた、最悪の事態が起きていると思います。

モハマッド・マンスールさんからのメッセージ

命を救う場所にも攻撃

※ガザの病院で爆発が起きたことについても聞きました。

画像提供:モハマッド・マンスールさん知人

やっぱり病院が狙われてるってことは、これは戦争状態だと思うんです。兵士だけではなく一人でも多くの人を殺害できるために動くというのは戦争です。誰がやったにせよ、人を助けるべきところが破壊されていると人々も絶望する。病院に行けば安全だと普通は思いますよね。

人々は優しさのかたまり

ガザは、日本からだといつも戦争していて、ギスギスして拳を振り上げているイメージかもしれませんが、ガザの人たちは優しさのかたまりです。家族愛がとても強くて、わたしは2つの家族から、『おまえも家族のメンバーだ』と言われて家族ぐるみの付き合いをさせてもらっています。行けばうちに泊まるし、ごはんも3食全部食べていけって。いったん仲良くなると家族ぐるみのつきあいをしてくれるんです。

画像提供:地球のステージ

みんな日本人が大好きですよ。日本人って勤勉で、車とか電化製品とか、メイドインジャパンというイメージで考えてくれています。

関心を持ち続けて

桑山紀彦さん

わたしたちはイスラエルにも友人がいます。イスラエルの人たちにも正義があって、パレスチナの人たちにも正義がある。パレスチナの人たちもイスラエルの人たちも、一般の人たちは平和を願っている。それを壊しているのは兵器を使って戦争している人たちなんです。

撮影:モハマッド・マンスールさん

パレスチナは遠いところですが、そこにも小さな子どもがいて、腰が曲がったおじいさんやおばあさんがいます。どうか想像力を持って歩み寄ってあげてほしい。
現地の人たちにとって一番の絶望は世界に見捨てられてしまうことです。世界が関心を失わない限り、必ず戦争は終わるし、普通の日々が戻ってくると信じています。
とにかく関心を持ち続けること。遠い出来事かもしれないけど、関心を持ち続けることが、誰かと誰かをつないで、必ず現地に届きます。興味を持ってみているよ、心配しているよという気持ちを持つことが大切だと思います。

募金活動を開始

地球のステージでは10月18日から募金活動を始めました。
物資の支援や心のケアにあてるということです。
「地球のステージ」ホームページで受け付けています。(※NHKのホームページを離れます)
https://congrant.com/project/stageone/8121/form/step1

  • 佐藤美月

    横浜放送局 記者

    佐藤美月

    2010年入局 川崎市を担当。「すべての子どもが生き生きと暮らせる社会」をテーマに取材を続ける

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