自分が住む町の議会のホームページ、見たことありますか?
議会への興味・関心を高めてもらおうと、神奈川県内で面積が一番小さな町「開成町」の議会が、《日本一》を目指してユニークな取り組みを始めています。
去年9月、県内で最も面積が小さな町「開成町」の議会が独自のサイトを立ち上げました。
これまで当たり前だった議会のホームページのイメージを大きく変えるものでした。
例えば、こちらの画像。先月(6月)撮影された議会広報の動画の一場面です。
4月の統一地方選で改選された12人の議員全員で参加する委員会の説明を動画で伝えます。
それだけではありません。「日本一短く説明する一般質問」と題して始めたのが、定例会議で行う一般質問の概要を1人20秒で説明する取り組みです。たったの20秒で、それぞれの議員たちが質問の要点を説明します。
撮影された動画は、一般質問前に議会の公式Youtubeに掲載。仕事や家事の合間のちょっとした時間にも見ることができます。スマホなどが身近な若い世代を含めて、幅広い世代に議会への関心を持ってもらうのが狙いです。
▼議員の生の声を迅速に
さらに、一般質問直後に、議員ひとりひとりに突撃インタビューし、手応えや反省を聞く取り組みも始めました。議員の生の声を町民にリアルタイムに届けます。
なぜ、こうした取り組みが始まったのか。最初に提案したのは、議会事務局の佐藤久子さんでした。おととし、議会事務局に異動して、初めて議会の仕事を担うなかで、議会の情報が町民に届ききっていないと感じたといいます。
私自身、議会事務局に来る前は、議会のホームページなどを見る機会もなかなかなかったです。議会をより親しみやすく、身近な生活の一端だと思ってもらえるように、議会の情報をリアルタイムに伝えられないか、議員のみなさんに提案しました。
提案を受けた議員たちも、議会の広報改革に前向きだったと言います。取材した議員の声です。
「議員や議会についてもっと知ってもらいたい」
「前は、議会の広報誌が大量に余っていた。ちゃんと読んでもらいたい」
「質問をわかりやすく伝え、関心を持ってもらう方法を模索するようになった」
こうした取り組みに、他の自治体の議会から度々行政視察が訪れるなど、注目が高まっています。
一方で、一般質問などの動画の再生数は2桁にとどまるものが多く、町民にこの取り組みが十分に広まっていない課題も残されています。
こうした中開かれた、先月の6月議会。多くの人に来てもらおうと日曜日に開催され、それぞれの議員が町の課題や住民からの要望について、一般質問を行いました。
「自転車のヘルメット購入費用助成の考えは?」
「長期休暇中の子どもの居場所について、町の考えは?」
傍聴席には多くの町民が訪れ、満席に。議場に入れず、議場の外のモニターで観覧する町民もいるほどでした。
町の無料託児サービスを利用して、初めて傍聴に訪れた30代の母親もいました。
この女性に話を聞いたところ、子育てで時間が取れない中、議会のホームページや広報誌を見て、議会に興味がわいたといいます。さらに無料の託児サービスがあることから気軽に参加できそうだと感じて、初めて傍聴に訪れました。
育児の合間の参加でしたが、託児のおかげで集中して聞くことができました。町への興味が沸いてきましたし、町の行政に参加できている実感や議会の身近さを感じました。短時間でわかりやすく伝えるという町議会の姿勢が嬉しいです。
▼夏休みは議場を自習室として開放
もっと多くの人に議会を身近に感じてもらおうと、町議会では夏休み、議場を自習室として開放することにしています。午前9時から午後5時まで、中学生以上なら誰でも利用できるということです。
子どもから高齢者まで、幅広い多くの方に議会を身近に感じてもらって、知ってもらいたい。日頃の議会活動をしっかり見ていただくことは議員の励みにもなります。できるだけ町民のみなさんに、簡単に議会をご理解いただけるよう、議員みんなで工夫を凝らして頑張っていきたい。
開成町議会のホームページはこちら(※NHKのサイトを離れます)
取材を終えて…
選挙での投票率低下や、地方議会のなり手不足が全国的に課題となるなか、ふだんの暮らしのなかで、どのように地方議会や行政に関心を持ってもらうかは、非常に難しいテーマです。仕事や育児などで忙しくとも、日頃から議会に目を向けたいと感じました。