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地球温暖化で磯焼け拡大 小田原の海に豊かな藻場を!!

  • 2023年6月21日

地球温暖化を背景に、海藻が少なくなり、元に戻らなくなる「磯焼け」が全国的に拡大。
ワカメなどの海藻の減少で、餌にしているアワビなどの漁獲量も激減。
海に大きな変化が起きています。
小田原市の海では、地元の漁業者たちが培養した海藻の苗を植え付けて、人工的に藻場を再生する取り組みを行っています。
現状と対策を追いました。

磯焼け 全国的に拡大

海底(写真はイメージです)

磯焼けが全国で拡大しています。
海藻が茂り、貝や魚の生育に欠かせない「藻場」は全国的に減少傾向です。
調査手法が異なるため正確な比較はできませんが、国や自治体が現地確認や衛星画像を解析して調べた結果、全国の藻場は
▼1989年度から1992年度にかけて実施された調査では20万1212ヘクタール。
▼2018年度から2020年度にかけては16万4340ヘクタールと減少傾向にあります。

アワビの漁獲量10分の1に

こうした磯焼けの影響は、貝類などの漁獲量にも大きな影響を及ぼしています。

農林水産省の調査によりますと、アワビの漁獲量は昭和46年の5659トンから、おととしは658トンと、半世紀でおよそ10分の1に激減しました。 
サザエは8276トンから4275トンへと半減しています。

藻場を取り戻せ

地元の漁業者によりますと小田原市の沖合でも、4年ほど前から磯焼けが拡大。
以前は海底を埋め尽くしていた海藻の一種「カジメ」が、ほとんど見られなくなりました。
このため去年から、培養したカジメを海底に植え付けて、人工的に藻場を再生する取り組みを始めています。

江ノ浦漁港(小田原市)

取材した6月21日は江之浦漁港に、地元の漁業者や市の職員らが集まりました。
培養されたカジメをコンクリートの板にくくりつけ、ウニなどに食べられないよう金網で保護しました。

しっかりとくくりつけたら、船で運んで沖合へ。
ダイバーが海に潜って海底に設置していました。

この活動を行っているのは、漁業者やダイバーなどで作る「小田原藻場再生活動組織」です。
去年植え付けたカジメは、順調に育っているということです。

野瀬晃治 代表
かつてはカジメで海底が見えないほどでしたが、4年前から磯焼けが起きて、あっという間にすべてのカジメがなくなってしまいました。磯焼けは漁業に大きな影響を及ぼすだけではなく、二酸化炭素の吸着が減って環境にもよくないと言われています。すぐにとはいかないかもしれないですが、少しでも環境が回復することを願っています。

「早熟」のカジメを培養

人の手を入れて藻場を再生しようという取り組み。
使われているのは、神奈川県水産技術センターが培養している早熟カジメです。

培養されているカジメ

カジメは通常、次の世代を残すまで成長するのに1年半かかりますが、早熟カジメは半年ほどで成熟するということです。
県内では2010年ごろから磯焼けの進行が確認されていて、センターは2015年からカジメを培養する取り組みを始めました。

光や水温変化といった刺激を与えたあと、海水を循環させた水槽で培養します。

水産技術センター資源管理課:木下淳司 主任研究員
藻場は『生命のゆりかご』とも呼ばれるほど重要なものです。培養された早熟カジメが藻場の再生に役立ってくれればうれしいです。

一丸になって磯焼け対策を

東京海洋大学 藤田大介准教授

磯焼けに詳しい東京海洋大学の藤田大介准教授に現状や課題を伺いました。
藤田准教授によりますと、地球温暖化で海水温が上がり、ウニやアイゴといった海藻を食べる生物が増えたり、海藻が枯れたりして、国内では1980年代ごろから、磯焼けが南から北に向かって拡大しているということです。
正確な数字は分からないものの、25%から40%の藻場が減少したという調査結果もあり、磯焼けが進むとコンブといった海藻や、海藻を食べて育つアワビなどが減少するほか、海岸の浸食を防ぐ働きが低下すると指摘しています。
全国各地でウニやアイゴの駆除や、海藻を守るフェンスの設置といった対策が取られ、成果が出ている地域もありますが、漁業者の高齢化による人手不足が課題になっているということです。

藤田准教授
藻場を再生するためには、磯焼けが手に負えない状況になる前に徹底的に対策することが必要で、研究者、行政、地域住民などが一丸となって対策に取り組むことが大事です。

  • 北村基

    横浜放送局 小田原支局記者

    北村基

    2017年入局。宇都宮局を経て、2022年8月から横浜局小田原支局。南関東の空気に馴染むべく、目下、歴史を勉強中です。

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