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ChatGPT 横須賀市が試験運用1か月 成果や課題は?【詳しく】

  • 2023年6月5日

横須賀市はことし4月から、対話型AI「ChatGPT」の試験運用を始めました。
それから1か月。横須賀市が職員にアンケートを採ると、8割が「業務の効率化につながると思う」と回答しました。
どんな事に使って、課題は何だったのか。詳しくまとめました。

1か月使ってみたら・・・

横須賀市は対話型AI「ChatGPT」を、2023年4月から試験的に導入しています。
導入から1か月余り。
市では使用実績のほか、職員へのアンケート結果をまとめて、5日の会見で発表しました。

上地市長の会見

これまでにおよそ2万6000回の質問や命令が投げかけられ、利用料金はおよそ1万円だったということです。
アンケートに回答したのは、およそ3800人の職員のうち400人余り。
ChatGPTの使用状況を尋ねると、5.8%がほぼ毎日、55.7%がときどき、18.9%が1回だけ利用したと答え、使っていないと答えたのは19.6%でした。

8割「仕事の効率上がると思う」

使ったことがある職員のうち、およそ3割が文書の作成や要約に、4分の1が企画などのアイデア出しに利用したと応えました。
8割が「仕事の効率が上がると思う」と回答したということです。
市は文書の作成にかかる時間を、年間2万2700時間短縮できる可能性があるとしています。

「検索」には注意を

一方、ChatGPTは最新の情報を常に学習しているわけではなく、検索には向きませんが、およそ3割の職員が検索に利用したと答えました。

回答が不適切だったという意見も多く、市では専門家の助言を受けながら、ChatGPTを本格的に導入することにしています。

上地克明市長
少子高齢化により行政の業務が多様化するなかで、事務作業を効率化することで、人にしかできない福祉などに労力を注いでいきたい。

消防職員が使ってみたら

消防局予防課 佐々木瞭太朗さん

消防局予防課の佐々木瞭太朗さんChatGPTをすぐに自分の業務に取り入れました。
入庁8年目の佐々木さんは、これまで消防署で消火や救助活動を担ってきましたが、去年4月に予防課の査察係に異動しました。

消防署職員時代の佐々木さん(右から3人目)

重要な仕事の一つが国からの通知を建物の管理者に伝えることですが、一般の人でも分かりやすい文章にする必要があります。
異動してまもなく、表現に悩んで長い時間かかることがありました。

佐々木さん

今までは災害現場に出ることがメインの業務だったのですが、今は火災を未然に防ぐために、業者の方や建物の関係の方とやりとりすることがかなり増えています。業務内容は全く変わったなと感じています。

難しい通知を分かりやすく

佐々木さんは通知文などを分かりやすくするため、ChatGPTを使っています。
取材した日は、個室型の喫煙スペースなどに火災報知器やスプリンクラーを設置する条件が変わったことを、建物の管理者に伝えるメールの文案をChatGPTを使って作りました。

国の通知

もともとの通知です。
法律用語や行政機関特有の言い回しが多く、知識がないとなかなか読み解くことができません。
ChatGPTに、「内容を要約して」「地方公務員になって、分かりやすく丁寧に伝えられるようなメール案に」などと指示して文書を作成させます。

ChatGPTを使ったメール案

提案された文章は、分かりやすい表現になっています。
佐々木さんが内容を確認して修正する必要はあるものの、大幅な時間短縮になったということです。

佐々木さん

ChatGPTを利用することでかなり時間の削減につながっていると感じています。私たち消防職員が『ChatGPT』を使い時間の削減を図ることができれば、
その労力や時間を市民のために使えると思います。

会議の「アイデアマン」に

人事課の会議

ChatGPTが会議に「出席」してアイデアを出しているケースもあります。
人事課で10年目の職員に対する研修のプログラムを考える会議。
まずChatGPTに10年目職員に必要な能力を10個あげてもらいました。

リーダーシップ能力
プロジェクトマネジメント能力
ビジネスコミュニケーション能力
問題解決能力
プレゼンテーション能力など、10個が即座にあげられました。

このうち「プロジェクトマネジメント能力」に関する具体策を質問すると、「チームビルディングを目的としたアウトドア活動研修」が提案されました。

コミュニケーション能力を高めるとか、リーダーシップ能力を向上させる研修というのは実施していますが、チームビルディングのアウトドア研修というのはありませんでした。新しい研修の体験として考えていくのはどうでしょうか。

庁舎内で研修する方ばかり考えていました。あまりアウトドアとかレクリエーションみたいなものは、新型コロナで控えていたので。確かにいいかもしれないですね。

今後実際に取り入れるかどうか検討を続けていくことになりました。

根本怜名さん

横須賀市人事課 根本怜名さん
いろんな視点の意見が出てくるので、強力なアイデアマンが1人、チームに増えたっていう感覚になります。企画の素案を考える時は、とりあえず『ChatGPT』に聞いてみようということになっていくと思います。

「将来見据え 効果的導入を」

武蔵大学 庄司昌彦教授

行政のデジタル化に詳しい
武蔵大学 庄司昌彦教授

▼業務の見直しも重要
横須賀市は人口減少や職員の人手不足といった将来の課題に立ち向かうデジタル技術の一つとしてChatGPTを導入している。
まだ初歩的で大きな成果が出ているとは言えないが、地に足をつけて使い続けていけばAIと良い関係を築けると思う。
また、ChatGPTなどの生成AIは自治体の業務の効率化に大きなインパクトを与える一方で、必要性の低い手続きや無駄な会議自体を見直さないまま導入しても、無駄な業務が効率化するだけだ。 業務の見直しを進めらながら効果的に生成AIを導入することが重要だ。

▼活用次第で住民サービスに差も
ChatGPTだけであらゆる問題が解決されるわけではないが、横須賀市のように将来の課題を見据えて活用できる手段を積極的に探っていく自治体は問題を乗り越えていけるだろう。
 一方でこうした技術が、リスクがあるから禁止すると捉えて研究をしない自治体はゆくゆくは人手が足りず仕事が回らなくなり、住民サービスが低下するのではないか。

  • 古市悠

    横浜放送局 記者

    古市悠

    2010年入局 大阪放送局や科学・文化部をへて横浜放送局。環境問題や基地問題を取材。

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