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ホンデリング 記者クラブのそばにできた「ポスト」調べてみた

  • 2023年6月7日

私たちが事件・事故の取材の拠点としているのが神奈川県警察本部にある記者クラブです。
そのそばに新たに設置された「本のポスト」がふと目にとまりました。
どういったものなのか気になり調べてみました。

昼休みにふと目にとまった「赤いポスト」

記者クラブのNHKブース

警察取材を担当する私(記者)はふだん、神奈川県警察本部の2階にある記者クラブに出勤します。
ことし4月のある日のこと。
いつものように、同じ階にある食堂に向かうと、その道すがら、ふと目にとまったものが。

目を引いた赤いポスト

高さ130センチほどの「赤いポスト」でした。
いったいこれは誰が何の目的で設置したのか。

気になって調べてみた

ポストをよく見てみると、「被害者支援室」の文字。
さっそく、担当者に聞いてみました。

被害者支援室 三留里美巡査部長
齋藤記者

なんのためのポストなんですか?

三留
巡査部長

ホンデリングという犯罪被害者支援のためのポストなんです。
読まれなくなった本を回収して、古本を買い取る会社に送っています。
本の買い取り相当額は、NPO法人神奈川被害者支援センターに寄付される仕組みになっています。

齋藤記者

事件の被害者を支援するためのものなのですね。

三留
巡査部長

ポストは4月24日に2階に設置しました。
ホンデリングは2011年に始まり、このポストは2015年に作られました。
取り組みを広く知ってもらおうと赤いポストを作ったと聞いています。
これまでは9階にある被害者支援室に置いていましたが、多くの警察官に知ってもらいたいと場所を移しました。
県内各地の警察署から本部に来る警察官も食堂や売店を利用するので、そうした際に知ってもらいたいと思っています。

ポストの中

1か月間でどれだけの寄付が集まったのか。
今回特別にポストの中をのぞかせてもらいました。
すると、新書や小説などがいっぱいに入っていました。

三留
巡査部長

9階に設置していたときはポストが一杯になることはありませんでした。
これだけ多くの寄付が寄せられて驚いています。
引き続き、警察職員にも呼びかけていきたいと思います。

私たちも寄付できます

ホンデリングの仕組みはどうなっているのか」

もっと知りたいと思った私は、NPO法人「神奈川被害者支援センター」を訪れることにしました。
センターでは、県警の被害者支援室と連携して、事件に遭った被害者やその家族の支援が行われています。

右)NPO法人「神奈川被害者支援センター」永野弘幸所長
齋藤記者

ホンデリングでの寄付はどのように活用されているのですか?

永野所長

センターでは、電話相談やカウンセリング、付き添い支援などを行っています。
このほか、命の大切さを学ぶ教室なども行っていて、ホンデリングでの寄付はこうした支援活動に使われています。
例えば、寄付いただいた本の買い取り価格が1冊50円で計算すると、このようなことができます。

2000冊・・・犯罪被害により転居を余儀なくされた被害者の方への転居費用の支援
4000冊・・・無料のカウンセリングや法律相談の充実
6000冊・・・被害に遭った人の二次的な被害を防止するためのセミナー

永野所長

ホンデリングはみなさんも参加できるんです。
県内のすべての警察署で実施していて、署によっては入り口に本の回収箱を置いています。
もしくは、住民相談係で受け付けている署もあります。
このほか、5冊以上の寄付がある場合は、インターネットからも申し込めるので、神奈川被害者支援センターのホームページも見て欲しいです。
ホームページはこちら(NHKのサイトを離れます)

※以下の本は寄付の対象外※
①ISBNと呼ばれる本のナンバーが付いていないもの
②百科事典やコミック、個人出版の本や雑誌
 

齋藤記者

どのくらいの本が寄付されているのですか?

永野所長

去年11月までの1年間に3050冊が集まりました。
実は、このうちの半分を超える1597冊は大磯警察署からの寄付なんです。
多くの人に活動を知ってもらって、寄付につなげていきたいですし、1人1人が被害者支援を考えるきっかけになればと思っています。

県内で最多の寄付は大磯署 なぜ?

神奈川県内にある警察署の数は54。
そのうちの1つの署が寄付の半数を占めるとは驚きです。
大磯警察署は大磯町と二宮町を管轄し、人口は2つの町を合わせて5万8000人ほど。
「その大磯警察署になぜ最も寄付が集まったのか?」

疑問に思った私は、同僚の小林記者(大磯署を含む警察署を担当)と一緒に、さらに調べてみることにしました。

大磯警察署1階に置かれている回収箱
小林記者

1597冊という数字には驚きました。
どうやって寄付に結びつけているのでしょうか?

佐藤真
署長

犯罪被害者週間にあわせて、管轄する大磯町と二宮町の町役場のほか、町役場の支所にも回収箱を設置してもらい呼びかけをしました。
また、大磯町立図書館からは、本の更新や整理をした際に置いておけなくなった古本を寄付して頂きました。
住民の方の協力はもちろん、行政の協力も大きいです。

山積みになっていて目を引きます
小林記者

どうして回収箱に本を山積みしているのですか?

佐藤真
署長

そこに狙いがあるんです。
警察署に訪れた方に「これは何だろう?」と興味を持ってもらい、ホンデリングを知ってもらおうと考えました。
実際に、山積みの本を見て声をかけてくださり、本を持ってきてくれる方もいました。

小林記者

狙い通りなんですね。
どのような人が本を寄付しているんですか?

佐藤真
署長

散歩のたびに警察署に立ち寄って寄付してくれる方もいますし、家の整理をして不要になったからといって持ってきてくれる人もいます。
これだけ多くの人が本を寄付してくださったことに感謝しています。
引き続き、警察の活動に協力していただきたいです。

寄付された本

身近にできる支援はほかにも

ふと気になった「本のポスト」。
取材を進めると、私たちが日々ニュースでお伝えしている事件の被害者や家族の暮らしを支える活動にたどり着きました。
被害者支援につなげる方法は、ホンデリングのほかにも、警察署などに設置されている募金箱寄付に繋がる自動販売機の利用などがあります。
みなさんも捨てようとしていたその本、寄付に回してみませんか? 

  • 齋藤怜

    横浜放送局 記者

    齋藤怜

    2016年入局。初任地の水戸局では災害・原発担当。 2021年11月からは横浜局で県警担当。

  • 小林奈央

    横浜放送局 記者

    小林奈央

    2022年入局。県警や海保などの担当として事件・事故の現場取材に駆け回っています。

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