5月23日、神奈川県鎌倉市にあるJR東海道線の大船駅で、乗客およそ2000人を乗せた列車が、貨物線の線路に誤って進入するトラブルがありました。
本来停車するはずだった横浜駅や川崎駅など、4つの駅には止まることができませんでした。
23日の午前6時半ごろ、東海道線の大船駅では、朝の通勤・通学ラッシュの時間帯を迎えていました。
そこに、国府津駅発・高崎駅行きの上り列車が停車するためにさしかかります。
しかし、大船駅まであと100メートルというところで、本来通るはずの線路ではなく貨物線に進入してしまいました。
JR東日本によりますと、運転士が旅客用と貨物用の信号を見誤ったことが原因だということです。
貨物線にはホームがありません。
そのため、電車は大船駅で客を乗せたり降ろしたりできずに通過し、貨物線を走り続けます。
▼大船駅から東戸塚駅の間を東海道線と併走しながら走ったあと、
▼東戸塚駅からは貨物の専用の駅「横浜羽沢駅」とを結ぶ貨物線を通って鶴見駅まで走ります。
そして、
▼鶴見駅からは貨物線と併走するJR横須賀線に移って走り、武蔵小杉駅で停車しました。
電車は本来停車するはずだった戸塚駅、横浜駅、川崎駅にも止まることができませんでした。
列車には2000人が乗っていました。
このうち通過した4つの駅では600人が降りる予定だったということで、乗客は武蔵小杉駅で別の列車に乗り換えました。
こちらが運転士が取り違えた信号機です。
2つの信号が並んでいます。
上の「客一場」と表示されている信号が、乗客を乗せる電車用の信号。
下の「貨上場」と表示されているのが貨物線用の信号です。
当時、上の信号は「赤」になっていましたが、下の貨物線用の信号は、制限速度以下で注意して進むよう指示する、「黄色」になっていました。
運転士は2つの信号を取り違えてしまったということです。
本来は、駅に向かう信号が「赤」のため停車する必要がありましたが、「黄色」だと誤認して進入しました。
信号から50メートルほど進んだところで気づきましたが、すでに貨物線に入ってしまったあとでした。運転士はすぐにJRの指令所に連絡し、このあとの判断を仰いだということです。
このトラブルの影響で、東海道線などで最大30分程度の遅れが出ました。
当時は通勤時間帯で、およそ1万5000人に影響が出たということです。
JRは運転士から詳しく話を聞くなどして、当時の状況を調べています。