Jリーグ30周年企画・第2弾は社会連携活動、通称“シャレン”です。それぞれのチームはプレーだけではなく、社会の課題解決に取り組む活動を進めてきました。神奈川県にある6チームの社会連携の取り組みをお伝えする予定です。今回は、Y.S.C.C.横浜です。
1986年のクラブ創設以来、Y.S.C.C.横浜が掲げている理念があります。
それは「地域はファミリー」です。
プロチームやユースチームの運営に加え、ホームタウンである横浜市中区を中心にさまざまな地域貢献活動を行ってきました。
2021年9月、新たな取り組みとして「Y.S.C.C.ファーム」を立ち上げました。
農家の高齢化や担い手不足により耕作放棄地が課題となる中、横浜市の神奈川区や緑区の農家とともにサッカー選手とチームスタッフが農業を行う活動です。
参加する選手たちは体力に自信があっても、農業の経験や知識はほとんどありません。
練習の合間を縫って、地域の農家と一緒に畑の草刈りをしたり、野菜や果物を栽培したりするなかで、さまざまな知識を身に付けていきます。
若い選手が農作業を通して、さまざまな知識を身に付け、成長する過程を地域の人たちに見てもらうことで、サッカーへの関心も高めていきたいという願いも込められています。
現在、神奈川区のおよそ100坪の畑でタマネギやジャガイモ、キュウリ、ナス、トマトなどを露地栽培しています。
また、緑区にある2か所の農業用ハウスでレタスや水菜、サラダ菜などの葉物野菜を水耕栽培で育てています。
横浜で育った野菜を地元の人などに食べてもらおうと、収穫した野菜は、ホームゲームや地域のスポーツセンターで定期的に販売しています。
また、横浜市中区の馬車道商店街での催事にも出店しています。
葉物野菜は、販売するその日の朝に収穫し、鮮度にこだわることで、付加価値をつけています。
お客さんの反応も上々だということです。
味が濃くておいしい。新鮮で日持ちもする
次は、小松菜を作ってね
今後は、地域の方やクラブのサポーターが参加する農業体験会を計画しているということです。
このほかにも「健康体操」「食育・栄養」「睡眠」「体の痛み予防」など老若男女、年齢や性別を問わず参加できる内容の講座を開催してきました。
「Y.S.C.C.元気プロジェクト」
労働者の街、中区寿町で開催する「Y.S.C.C.元気プロジェクト」。
健康体操では、Y.S.C.C.のスタッフが定期的に参加者に体力維持のスポーツ体験講座を開いています。
2023年4月の講座では、スキーのポールを利用しての散歩する『ノルディックウォーキング体験会』が行われました。
足腰が弱っている方でも、ポールを使うことで、全身の力で散歩を楽しむことが出来ます。
「食育・栄養」の講座
チームの管理栄養士が、参加者の年齢層に合わせ、健康かつ、包丁を使わず手軽にでき、自宅でも挑戦しやすいメニューを紹介しています。
2021年の講座では、Y.S.C.C.トップチームの管理栄養士が「高血圧の予防に関する食育」を紹介しました。
塩分の摂りすぎや、カルシウム・カリウム不足などが原因で引きおこる高血圧を予防・改善するため、「日頃の食生活の工夫」などをテーマとした座学に加え、簡単に作れる一品の料理講座を開きました。
メニューは市販の野菜ジュースとオートミールを使った「トマトリゾット」。
作り方はオートミールにトマトジュースとチーズをかけて、電子レンジで加熱するだけ。
参加者も一緒に作り、試食しました。
「包丁を使わず簡単にできる」「栄養があって、おいしい!自宅でもやってみる」などの声が寄せられました。
2023年からチームの応援グッズを寿町の福祉作業所に制作していただいています。
すでに選手の写真やイラストがデザインされた缶バッジやステッカーを作ってもらいました。
缶バッジは、デザインから製造、こん包まで一貫してやっていただきました。品質も一般のグッズと遜色が無く、福祉作業所で作成したことは、あえて表に出さずに販売しています。
次回は、アクリル製のキーホルダーの制作を計画しています。
今後も『地域はファミリー』を合い言葉に、地域の困りごとや課題解決に貢献すべく、シャレンを進めていきます。