Jリーグ30周年企画・第2弾は社会連携活動、通称“シャレン”です。それぞれのチームはプレーだけではなく、社会の課題解決に取り組む活動を進めてきました。神奈川県にある6チームの社会連携の取り組みをお伝えする予定です。今回は、横浜F・マリノスです。
「横浜F・マリノスフトゥーロ」は平成16年(2004年)、障害があるかどうかに関わらず、サッカーを楽しめる環境づくりをコンセプトにスタートしたチームです。
横浜F・マリノスのほか、障害者スポーツ文化センター(横浜ラポール)、横浜市スポーツ協会の3つの団体が運営していて、2018年度からは横浜市の社会人リーグに参戦して、健常者で作るチームとの試合もしています。
“地域の誰もがスポーツを楽しめる環境を作りたい”
コーチを務める斎藤幸宏さんは、チームが目指す理念についてこう語っていました。
「フトゥーロ」・・・スペイン語で「未来」を意味する言葉
「誰もが思いやりを持てる共生社会」「誰もがサッカーを楽しめる環境」が当たり前にある「未来」へ、という想いが込められている
当初はおよそ20名の選手でスタートし、いまは中学生から社会人までおよそ100名の選手が在籍しています。
チームによりますと、たとえば、友達との付き合いが苦手だったり、家に閉じこもってしまったりする選手も少なくないということですが、チームでプレーするうちに、社会性を身につけていく選手もいるということです。
保護者から「加入して、表情も明るくなり、自分で考えて行動するようになった」「あいさつが苦手だったが、積極的にあいさつをするようになった」という声も寄せられているという。
2023年4月に取材した高松将吏選手(18歳)は中学2年生のときに入団。
あいさつが苦手でしたが、いまでは入団したての後輩に自分から積極的に声をかけて指導するなど成長しています。
それぞれの選手の障害の程度はさまざまで、1人1人の個性にあわせて、コーチがきめ細やかな指導を行っています。
横浜F・マリノスは、2022年、知的障害のある小学生を対象にした「にじいろくらす」を開講しました。
「小学生のときからスポーツをする環境がほしい」という地域の保護者からの声が寄せられたのがきっかけでした。
ことばだけで理解するのが苦手な子もいるため、ゴールに色カードを下げてその色を頼りにゴールさせるなど、より分かりやすく伝える工夫をしています。
フトゥーロのこれまでの取り組みがさらなる広がりを見せています。
フトゥーロの選手たちは、小学校での子ども向けサッカー教室やJリーグの試合運営のサポートなどにも参加してきました。
SDGsが掲げられるなか、チームは、これからもサッカーを通じて多様性や健康、教育などの目標に取り組んでいくことにしています。
このほかにも、横浜F・マリノスが取り組んできたシャレンの活動について話を聞いてきました。
そのうち、主なものをご紹介します。
・自治体など関係団体と協力した交通安全教室
・電動車いすサッカー大会の開催
・ホームタウンでの食文化発展のために「テイクアウトマップ」(持ち帰りや出前などを行っている店舗をまとめたマップ)を作成
一般社団法人F・マリノススポーツクラブ 地域連携本部 芝崎 啓さん
「ホームタウン3市(横浜・横須賀・大和)と一緒に各地域の社会課題に取り組みたいと思います」