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相模原のキャンプ場倒木事故 危険な木の見分け方は?

  • 2023年04月28日

4月16日、相模原市のキャンプ場で木が根元から倒れてテントに直撃し、中にいた29歳の女性が死亡する痛ましい事故が起きました。
相模原市は事故を受けて、キャンプ場の緊急点検を行うとともに、倒木のおそれのある木の見分け方を知ってもらおうと、キャンプ場の管理者を対象に講習会を開きました。

高さ18メートルの木が倒れてテントを直撃

4月16日の午前3時すぎ、相模原市緑区の「新戸キャンプ場」で、木が根元から倒れてテントに直撃しました。
倒れてきたのは、高さおよそ18メートル、太さ70センチほどの木です。
根元から倒れて、夫婦が一緒に寝ていたテントに直撃しました。
中で寝ていた東京・武蔵野市の29歳の会社員の女性が死亡し、31歳の夫も胸の骨を折るなどの大けがをしました。
キャンプ場から指定された区域内にテントは張られていました。
警察は木が根元から倒れていることから、枯れたり根腐れを起こしたりしていた可能性があるとみて原因を調べるとともに、木の管理状況についてキャンプ場側から話を聞いて調べることにしています。

各地で緊急点検も

望地弁天キャンプ場で緊急点検

事故翌日の4月17日、相模原市は、市内に20か所あるキャンプ場のうち、市営の2か所で緊急点検を行いました。
このうち「望地弁天キャンプ場」(相模原市中央区)では、市の職員や管理者、それに造園業者が、テントを張れるエリアにある松やサクラの木の幹の状態を鉄の棒を使って確認しました。
幹に穴が空きやすくなっている場合などは倒木のおそれがありますが、市によりますと、点検では倒木のおそれのある木は見つからなかったということです。

点検では倒木のおそれのある木は見つからなかった一方、枝の先に葉っぱがついていない枝が6本確認でき、枝を切りました。
木の枝に葉っぱなどがついていない場合、枝が枯れてる可能性があり、折れやすくなっているということです。
市は、残る18か所の私営のキャンプ場にも緊急点検を指示し、その結果、倒木のおそれのある木は見つからなかったということです。 

相模原市観光・シティプロモーション課 臼井秀治さん

臼井さん
「5月の大型連休にも多くの人がキャンプ場を利用すると思うので、引き続き点検するとともに、折れやすくなっている枝を切るなど対応を進めたいです」

また、現場から3キロほどのところにある相模原市緑区の別のキャンプ場・「バカンス村」は毎日、営業時間の前にスタッフが倒木のおそれのある木がないか、点検しています。
点検では、▼木の枝から新しい芽が出ているかや▼幹の部分が枯れていないかなどを確認していて、芽が出ていない場合、倒木のおそれがあるということです。
17日の点検の結果、高さおよそ18メートル、太さ40センチほどの木の幹の根元の部分が半分近く枯れていたことがわかり、強風が吹いた場合などに備え、伐採したということです。

写真提供:バカンス村 

キャンプ場の管理者向けの講習会

講習会の様子

事故を受けて、キャンプ場の管理者を対象とした木の点検方法の講習会が4月26日に相模原市で開かれました。
12の施設の管理者20人ほどが参加しました。
はじめに、相模原市の博物館の学芸員(生物担当)の秋山幸也さんが、倒れる前兆のある木の見分け方を解説しました。

秋山さん

新緑のこの時期に、周辺の木が青々としているのに葉がついていない木は枯れている可能性が高い。木は枝や葉っぱから枯れていくので、大きな枝が落ち始めたら危険度は高まっているサイン。

▼見分けるポイントはほかにも

・ナラ枯れの前兆は木くずが幹にこびりついたり、根本に降り積もったりする
・梅雨明けころ、急に葉っぱが茶色くなる
大きな木の枝が折れて、ほかの枝に引っかかっている
・大きな枝が折れて落ちていて、折れた断面の色が新しい
・木の樹皮がささくれていて、木肌が露出している など

実際に木を見ながらを説明

また、キャンプ場にある木や枝を実際に見て回りながら見分け方を確認しました。

・大きな枝が落ちている木があった場合、枯れているか半分枯れている状態
・桑の木は日当たりのいい場所に生える木だが、周辺の木に負けて日当たりが悪くなると枝から枯れて不健康な状態になる
・木の幹に葉っぱがついている状態は不健康な状態
・手で折れてしまう木は腐食が進んでいるので、生きている木の可能性が低い
・サクラの木の枝の途中から別の枝が複数生えている場合、病気の可能性がある

参加した管理者からは「定期的に点検していきたい」といった声が聞かれました。

参加者

新緑を迎えるこの時期に葉っぱがないことが根腐れのサインだという点は参考になりました。定期的に点検して倒木や枝の落下がないように努めたいです。

参加者

これは危ないとか、これは大丈夫だとか管理する場所の木を仕分けることが大事だと思いました。切る事はできても、病気の事はわかりませんでした。病気について知っていれば、この先どうなるのかを把握できるので勉強になりました。

秋山さん

木は何かしらの前兆があって不健康な状態で倒れていくというプロセスがあるので、日々のパトロールの中で、なるべく早く危険を察知して除去していただきたい。枝先に葉っぱがついていない、木の幹がささくれている、歩いているとふと枝が落ちてくるといった場合、そこに危険な木があるというサイン。ちょうど新緑の時期は、周りが新緑なのに葉っぱがついていないということが、1つの大きなポイントになるのでそこに注目していただきたい。

  • 小林奈央

    横浜放送局 記者

    小林奈央

    2022年入局。県警や海保などの担当として事件・事故の現場取材に駆け回っています。

  • 尾原悠介

    横浜放送局 記者

    尾原悠介

    2018年入局。大阪府警担当を経て、2021年11月から横浜放送局で事件・事故を中心に取材。趣味はサッカー

  • 高橋哉至

    横浜放送局 厚木支局記者

    高橋哉至

    2018年(中途採用で)入局。 初任地の宇都宮放送局では 警察や司法、支局取材を担当。 2021年11月からは厚木支局で地域の課題やスポーツ関連の話題を取材。

  • 齋藤怜

    横浜放送局 記者

    齋藤怜

    2016年入局。初任地の水戸局では災害・原発担当。 2021年11月からは横浜局で県警担当。

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