新年度を迎えたことし4月、改正道路交通法が施行され、自転車に乗る“すべて”の人を対象に、ヘルメットの着用が努力義務化されました。
罰則は? 実際に着用している人はどのくらい?
詳しくお伝えします。
改正内容はいたってシンプル。条文は次の通りです。
「自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない」
つまり、子どもから大人、高齢者に至るまで自転車に乗る人はすべて、ヘルメットの着用が努力義務となりました。
また、小さな子どもについてはこれまでと同様、保護者がかぶらせるよう努めることも別の条文で明記されています。
一方で、あくまで「努力義務」のため罰則はありません。
そのため、ヘルメットを着用せずに自転車に乗っても、警察官から反則切符の交付を受けるなどの取り締まりはありません。
しかし警察は、ヘルメットをかぶらない、いわゆる「ノーヘル」の危険性は決して見過ごせないとして、着用を積極的に呼びかけています。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響などで、近年、自転車の人気が高まっているのに比例して、自転車に乗る人の交通事故も全国的に増加傾向にあります。
神奈川県警は、1年間に起きたすべての人身交通事故のうち、自転車が関連する事故が占める割合を過去5年間さかのぼって調べました。
その結果、自転車が関連する事故が占める割合が増加傾向にあることが分かりました。
2018年・・・23.2%(自転車事故6075件/全事故26212件)
2022年・・・25.6%(自転車事故5393件/全事故21098件)
※事故の件数そのものは新型コロナによる外出制限などの影響で減少している
自転車に乗る人のヘルメット着用について、これまでの道路交通法では、13未満の子どもを対象に保護者が着用させるよう努めなければならない、とされていました。
しかし、神奈川県を含め、全国的に自転車に乗る人が事故で死亡したり大きなけがをしたりする状況が相次いでいることを踏まえ、着用を求める範囲が“すべて”の人に拡大されました。
自転車に乗っていて死亡した72人のうち52人(72%)は「頭部」が致命傷でした(過去5年まとめ・神奈川県警調べ)。
一方、県警がヘルメットの着用状況を調べた結果、着用率はわずか4%(429人/10275人)にとどまりました(去年11月・神奈川県警調べ)。
ヘルメットの努力義務化の初日にあたる4月1日、横浜市泉区の私鉄の駅前では、ヘルメットの着用を呼びかける催しが開かれました。
警察官がチラシを配って呼びかけたほか、ヘルメットのメーカーも協力してさまざまな種類の自転車用ヘルメットを試着できるコーナーも設けられました。
最近は、スポーツタイプのもの以外にも、つばのついたキャップに見えるものや、女性用のおしゃれなデザインのものも販売されていて、親子連れや高齢者が足を止めて、試着していました。
これまで自転車に乗るときはヘルメットを着用していませんでした。最近のヘルメットは重さも軽く、ヘルメットに見えない素敵なものもあることに驚きました。近所では子どもたちがかぶっている姿もよく見かけますし、自分の身を守るためにもかぶろうと思い直しました。
友達と遊びに出かけるときに自転車にはよく乗っています。転んでけがをしたこともありました。ヘルメットは家にあるけれど、かぶることもあれば、かぶらないこともありました。すごく軽いタイプのものもあると今回初めて知りました。けがをしないために、かぶらなきゃと思いました。
車と違って自転車は無防備な状態なので、ヘルメットを着用せずに乗ることはとても危険です。そのため、ヘルメットは命を守るためにとても重要ですが、その重要性についてまだまだ広く知られていない現状はあると考えています。
1人でも多くの人に着用してもらえるよう、警察としても粘り強く呼びかけていきたいと思います。