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バスケBリーグ 横浜・河村勇輝選手 進化を続ける21歳

  • 2023年02月28日

バスケットボール男子Bリーグ、横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝選手。
今季、河村選手は日本代表にも選出され、抜群の存在感を放っています。所属する横浜ビー・コルセアーズでも、司令塔としてチームをけん引し、地区の首位争いを繰り広げる躍進を見せ、一気に日本中から注目を集めるスター選手となっています。
シーズンも後半戦に突入している中、これまでの戦いや、これからの目標について聞きました。

河村勇輝(かわむら・ゆうき)
2001年山口県出身の21歳、身長172センチ。ポジションは司令塔のポイントガード。2020年1月の高校在学中、特別指定選手として史上最年少(当時)でB1デビュー。名門・東海大学に進み、2020年12月には横浜ビー・コルセアーズの特別指定選手に。2022年3月に大学の中退と、プロ契約を発表。2022年に日本代表デビュー。今シーズンのオールスター戦にはファンからの最多票を獲得し選出。小柄だが、抜群のスピードと巧みなパス技術に加えて、勝負強い得点力も魅力。

手ごたえを感じる今シーズン

――前半戦を振り返るといかがでしたか?

前半戦は毎試合毎試合、チームの成長を感じられるような試合が多かったです。負けゲームも勝ちゲームも含めてすべてがチームの土台を作っているというか、チームとしてのレベルは上がっていると感じています。チームとして課題は、いろいろあるんですが、それ以上に団結力であったり結束力というのをすごく感じていました。自分自身としてもこの後半戦が本当に楽しみです。

河村選手はここままで37試合に出場し、平均18.5得点(リーグ8位)、平均アシスト8.9本(リーグ1位)を記録。チームは23勝15敗の中地区2位。中地区1位の川崎ブレイブサンダースも23勝15敗で勝率は並んでおり首位を争っている。(2/28時点)

――勝つために意識していることはどんなところでしょうか?

僕の役割はチームメイトをしっかり生かすことで、もちろん得点についても、しっかりとタイミングを見計らいながらするように心がけています。相手が僕に対してタフに対策してくるのは分かっていますし、僕への対策でいろんなディフェンスをしてくる中で、相手は自分に何をやられるのが一番嫌なのかを考えながらプレーしています。
そして、手ごたえはもちろん感じています。でも、まだシーズンの途中ですし、とにかくチームの目標のチャンピオンシップ出場ということが、結果としてでなければ意味がないと思うので、毎試合毎試合全力で自分に向き合いながらやっていきます。

“ルーキーイヤー”に難しさも

プロとして初めてフルでシーズンを過ごす今季、長いシーズンを過ごすうえで難しさもあるといいます。

連戦が多かったり、アウェーゲームが続くことが一番難しいと思います。ほかにもバイウィーク(休養の週)があるときには、本当にありがたいことに、例えばオールスターであったり日本代表の活動であったり、チームとしても休む想定のタイミングで、個人の活動が増えてきているので、しっかりとそういった機会に感謝しながら、でも休めるところはしっかりと休んで、といったところの調整は難しさも感じました。

――ケアで気をつけていることはありますか?

いろんな方々に体のトレーニングであったりケアで診てもらっているんで、そういった方々が周りにいることは僕にとってすごくプラスになっています。バスケット一辺倒になりすぎると、パンクしちゃう時もあったりするので、オンとオフの切り替えを意識して、しっかりとリフレッシュできるときは、おいいしいごはんを食べたり、時間があれば温泉に行って体を休めたり、そういった時間もちゃんと作ります。

まずはW杯、そしてオリンピックへ

河村選手はこれまでも、目標をパリオリンピック出場と発言していて、今シーズンから日本代表にも選出されて世界の舞台でも活躍を見せています。日本代表での手ごたえについても聞きました。

アジア圏内の戦いしか経験がないので、世界レベルかは分からないですが、自分の強みである、スピーディーなクイックネスは、アジアでも十分通用すると感じました。やはりサイズ感では相手のアドバンテージが大きいので、そこを埋めるために、技術的にもっと幅広くプレーできないといけないと思っています。今シーズン日本代表のユニホームを着られたことは、自分の中のオリンピックという目標に対して、スタートラインにやっと立てたところです。ことしはワールドカップがあるので、そのメンバーに絶対に入りたいと思います。ワールドカップは日本開催ということで、結果だけではなく、バスケットの知名度を上げる意味でもすごく大事になる大会だと思うので、その一員として貢献したいです。そして、やはりパリオリンピックに出るためにもワールドカップで結果を残さないといけないと思います。

ーー日本中から注目されることはどう感じていますか?

こうやって、メディアに注目してもらえるのもごく僅かな人だったり、ごく僅かな時間だと思うので、僕が今できることはバスケットで結果を残すことであったり、メディアに出てしっかりとバスケットボールの価値を上げられるような言動をできればいいなと思っています。バスケットの知名度を上げるために、そういったメディア対応も最大限やるようにしています。

チャンピオンシップ出場のために

僕自身の目標は、何よりもチームの目標であるチャンピオンシップ出場にどう導けるかということなので、そのために毎試合毎試合、目の前の試合を絶対に全力で戦って、チームの勝利に僕が導けるように頑張ります。

恩師からのエール

日本代表と横浜ビー・コルセアーズの両方での活躍が日本中から注目される河村選手。地元の山口県から試合を観戦しにきた恩師たちはさらなる活躍に向けてエールを送ります。

小学校時代に河村選手を指導した・森本敏史さん
この数か月の間で、僕の想像をはるかに超える成長をしているというのが率直な感想です。ミニバスの時からすごくクレバーな選手で、僕の話もよく聞いてプレーできるし、チームをまとめる力もありました。すごい努力家で毎日シュートを何百本も打っていましたし、友達がゲームをしているときも彼はいつもボールといっしょに遊んでいたと思います。彼が言っているように日本代表のポイントガードとして世界で戦える選手になってほしいですし、そういった姿をぜひ見たいと思っています。

中学校の当時の校長先生・厚坊俊己さん(山口県柳井市バスケットボール協会会長)
わたしは彼に「疾風に勁草を知る」という言葉を送りたいと思います。
強い風が吹いたときにこそ本当の強さがわかる。見た目は強そうでも風で飛んでしまうものもあるでしょうし、見た目が弱々しくても踏ん張る、頑張るものもあると思います。河村選手には、身長はあまりありませんから、ぜひそういう逆風とか、いろいろ強い風が吹いたときに頑張れる、そういう選手を目指して、いまももちろんよく頑張っていますが、これからも頑張ってもらいたいなと思います。

【インタビューを終えて】
勝った試合の後でも、負けた試合の後でも、メディアの質問にも一言一言丁寧に、冷静に、自分の思いや考えを話してくださる河村選手。盛り上がる周囲の注目とは裏腹に常に冷静に自分を見つめ、状況を把握しているところに河村選手の凄さを感じました。

  • 髙見彰良

    NHK横浜放送局 経営管理企画センター

    髙見彰良

    2014年入局。2020年から横浜放送局勤務。2021年5月からはデジタルを中心に地域の課題や魅力の発信に取り組む。

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