私たちがお伝えする事件や裁判のニュース。みなさんは、罪を犯した人のその後を知っていますか?再び罪を犯してしまう人の割合、再犯者率は4割を上回っていて、国も再犯を繰り返さないための支援を行っています。こうした取り組みを知ってもらおうと、横浜市で刑務所や検察庁などの活動を紹介する展示会が開かれました。
展示会は横浜市役所を会場に、2月17日から3日間にわたって開かれました。
横浜刑務所や横浜地方検察庁、横浜保護観察所、民間団体など15の関係機関が参加。
横浜刑務所の担当者
「今回のように連携して取り組みを伝える展示会を開くのは今回が初めてです。再犯を防ぐ取り組みについて広く知ってもらいたいという狙いで開催しました」
2022年12月に法務省が発表した「犯罪白書」によると、刑法犯罪を犯した人のうち、再び罪を犯してしまう人の割合、再犯者率は48.6%(2021年)に上っています。
刑務所における再犯防止に向けた矯正処遇について、パネルで解説がなされていました。
矯正処遇は、刑務作業、改善指導、教科指導に大きく分けられます。
「刑務作業」とは?
全国73の刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)で、およそ3万4000人の受刑者が改善更生を目指して作業しています。
刑務作業の内容は、木工や印刷、洋裁や金属加工などさまざまです。民間企業の理解や協力の下で実施されています。
社会貢献のための作業も行われています。これは、受刑者が社会に貢献していることを実感することで、更生を促すボランティア作業です。
「改善指導」とは?
犯罪被害者や遺族の感情を理解させて罪の意識を培わせることや、生活設計や社会復帰の心構えを持たせる目的で行われます。
「教科指導」とは?
社会生活の基礎となる学力を付けてもらおうと、小学校高学年から中学校レベルの指導を行うものです。高等学校卒業程度の認定試験も実施されています。
検察官は刑事事件の捜査や、容疑者を裁判にかけるかどうかを判断する起訴・不起訴の処分を行っています。
横浜地方検察庁の展示では、こうした検察官の役割のほか、地検に設けられている刑事政策総合支援室が紹介されていました。
刑事政策総合支援室の主な役割~「入り口支援」
刑務所に入る前の段階で、関係機関と連携し、福祉の支援につなげることを目的とする。
▼罪を犯した人のうち高齢者・障害者・生活困窮者の社会復帰支援を行う
▼社会福祉の専門家の面談を実施する
▼住まいや就労など立ち直りに必要な支援を行う
▼捜査や公判の段階でも、認知症が疑われるような事例などで支援を行う
展示会の会場では、人気のコーナーも。
横浜刑務所をはじめとした施設で作られた製品の展示即売会です。
ひやむぎなどの乾めんや、お弁当などを入れられる手提げバッグなどの布製品、靴などが並べられ、訪れた人が手に取って商品を眺めたり、買い求めたりしていました。
売り上げの一部は犯罪被害者支援に使われるということです。
横浜刑務所作業部門 上遠野智博 首席矯正処遇官
「再犯を防ぐための活動について、知っていただいている人はまだ少ないと思います。こうした展示会を、活動を知っていただくきっかけにしていきたいですし、官庁間での横のつながりを再確認することにも繋げていきたいと思っています。今回は初めての試みでしたが、今後も第2回、第3回と続けていきたいです」
大和市内から訪れた71歳の男性
「強盗事件の発生など、体感的に治安の悪化を感じている中で、再犯をどう防ぐかや立ち直りをどう支援するかということも大切だと初めて気づきました。刑務所でどのようなことがなされているのかを知るよいきっかけにもなりました」