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東急線との直通運転控える神奈川の相鉄線

~延伸をチャンスに乗客獲得を目指せ~
  • 2022年10月6日

新型コロナの感染拡大で、首都圏の鉄道は利用者の大幅な減少に見舞われましたが、その前から利用客の減少に直面してきたのが神奈川県内を走る相鉄線です。2019年にJRとつながりましたが、来年3月には、新横浜駅を経由して東急電鉄にもつながり、都心への本格的な乗り入れが始まります。このタイミングを、乗客を増やすチャンスと捉え、さまざまな戦略を打ち出す会社の取り組みを取材しました。

大きな転機

相鉄線

横浜駅と海老名駅、そして湘南台駅を結ぶ神奈川の鉄道、それが相鉄線です。3年前に新設された羽沢横浜国大駅を経由して、初めてJR線とつながりましたが長年「神奈川で完結する路線」と言われてきました。

路線図

しかし、来年3月、そのイメージが一新されることになります。新幹線が発着する「新横浜駅」にもつながり、都心と横浜を結ぶ東急電鉄への乗り入れが始まるからです。この東急電鉄との直通運転を前に、利用者からも期待する声が聞かれます。

利用者

都会とつながってくれる。出歩きやすくなりますよね

利用者

とても便利でいいんじゃないですか

相鉄線 利用者の推移

相鉄線の乗客数は、1995年にピークを迎え、以来、減少傾向が続きました。都心とつながっていなかったこともあり、関東の他社の私鉄と比べてインバウンドの恩恵もあまり受けられなかった上、新型コロナの感染拡大で乗客はさらに激減していたと言います。

駅を発着する相鉄線

こうした状況のなか、都心への延伸は、ピンチをチャンスに変える切り札だと相模鉄道は考えています。

相模鉄道経営企画部 井上課長

相模鉄道経営企画部 井上課長
「弊社は都心に乗り入れていないと。やはり一番会社が多い、企業が多い、商業施設も集積している都心への路線がつながっているか、いないかというのは大きく環境が違うところ。この輸送人員の減少を 食い止める1つの策として、この相互直通運転を始めようという決断に至っている」

沿線の魅力増へ

相模鉄道 本社

都心への延伸に合わせて、会社では多くの人に相鉄線に乗ってもらうための戦略を打ち出しています。

再開発が進む星川駅~天王町駅間の高架下

そのひとつが横浜駅など沿線の6つの地区の再開発です。

再開発が行われた二俣川駅

4年前に再開発を終えた横浜市旭(あさひ)区の二俣川(ふたまたがわ)駅では、1日あたりの乗降者数が、前年比で5.5%増え、すべての駅の中で最も増加率が高かったといいます。利用者からも、こうした変化を歓迎する声が聞かれました。

利用者

全然変わりましたよね。とってもいいと思います。こんなによくなるとは思わなかった

鉄道を利用して

さらにことし6月、横浜駅と二俣川駅の買い物客を対象に、パークアンドライドと呼ばれる新たな取り組みを始めました。横浜などに車で買い物に行かず、沿線の駅の駐車場に車を停めてもらい、そこから鉄道を使って横浜などに移動してもらうのです。

いずみ野駅

対象となるのは相鉄線沿線のいずみ野駅、三ツ境駅、上星川駅の3つの駅です。これらの駅のすぐ近くにある提携駐車場に車を駐車。そこからは、相鉄線に乗って横浜駅などに行き、指定された商業施設で買い物をします。3000円分買い物をすると、6時間、駐車料金が無料になるサービス券がもらえます。利用者にとっては、横浜駅や二俣川駅に車で行く場合に想定される渋滞のリスクを避けられ、現地で駐車場を探す手間も省くことができるというのです。相鉄線ではこうした取り組みを通じて、コロナ禍で激減した乗客を取り戻したいと考えています。 

さまざまな人へサービスを

さらに、スタートアップなどとも連携して幅広い層の人たちに相鉄線をPRするための施策にも取り組んでいます。 

ディスプレイを使ったやりとり

相鉄線の駅の窓口では今年、音声を自動で翻訳して字幕で表示する機器の試験導入が行われました。外国人や聴覚障害者などに、相鉄線=安心して利用できる路線だと感じてもらうことが狙いです。さらに、コロナの感染対策によって、アクリル板などが各所に設置され、相手の声が聞き取りづらい状況が増えている中、駅員と利用者のコミュニケーションを円滑にする効果も期待されます。会社ではこうした取り組みを通して、相鉄線を利用したことがない人たちにも、「選ばれる路線」にしたいと言います。

相模鉄道
井上課長

やはり鉄道に乗ることの楽しみを提供していかなければ、なかなかお客さまが減っていく、増えないという環境にあると思います。鉄道にもっと、乗っていただくようなことを進めていきたいなというふうに思っています

取材後記

実は私も学生時代、相鉄線を利用して毎日、高校に通っていました。そんななじみのある相鉄線が、都心への直通運転がないため、インバウンドの恩恵も十分受けられず、新型コロナの感染拡大前から乗客数の低迷に苦慮していたという実態は、今回、取材して初めて知りました。相鉄線の利用者を増やすためさまざまな取り組みを打ち出す姿から、会社としての本気度も伝わってきました。
利用者がピークだった時と比べて沿線の人口は横ばいだということですが、沿線に住む人のうち15歳以上64歳以下の人口は、ピーク時を100とすると現在は80まで落ちているということです。
利用客の増加だけでなく沿線に住む人たちの人口減少も食い止めたいと意気込む相鉄線。今後、鉄道を取り巻く課題とともに事業者の挑戦についても取材を続けたいと思いました。

  • 関口裕也

    横浜放送局 記者

    関口裕也

    2010年入局。福島局、横浜局、政治部を経て、今年8月から2度目の横浜局勤務。横浜市政を中心に取材。

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