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サステナブルシーフード 港町・横浜で考える100年先の食

  • 2021年07月07日

「未来でもずっと魚を食べ続けられるように」
そう考えたのは、港町・横浜で働く人たちです。海の恩恵を知っているからこそ守りたい海の幸。そのためには、会社の昼食や店で食事をする際に、100年先でも食べ続けられるよう資源管理された魚を選ぶことでした。地道だけど、大切でおいしい取り組みをしている現場をたずねました。

銀行の社員食堂で…

まず、やって来たのは、横浜に本店がある銀行の食堂。

この日のランチは「白身魚フライのピタパンサンド」でした。使われていたのは、ニュージーランド産の白身魚「ホキ」です。

一気にとりすぎず漁獲量を管理していることから、港町・横浜の銀行の社員食堂で導入するにふさわしい食材だと考えたそうです。こうした資源管理を行っている魚介類は「サステナブルシーフード」と呼ばれています。

この銀行では、サステナブルシーフードを使ったメニューを、3年前から月に1回、社員食堂で提供しています。通常のランチに比べて100円ほど割高ですが、選んで食べる社員が増えてきたと言います。

おいしいなって、いつも思いながら食べています。

食べておいしくて、そこに付加価値がついていくものがあればいいなと思っています。

銀行では、本店ビルの電力を再生可能エネルギーに変えたり、地域企業の環境保全に対する取り組みを支援するための融資をしたりする中で、客に対してだけではなく、従業員が自分ごととして考えられるようにと、毎日利用する社員食堂を通じた取り組みをしたいと考えました。

横浜銀行 地域戦略統括部 SDGs推進グループ 谷口悠子さん
「未来にもずっと魚を食べていくために、今から適切な資源管理をする。自然を守っていくということが大切なので自然を守ることはもちろん、真摯に漁業や養殖産業に取り組んでいる漁業関係者の仕事を守ることにもつながると考えています。社員食堂でサステナブルシーフードを提供することで、日々の中で感じてもらうことが効果的なのではないでしょうか」

サステナブルシーフードを選ぶには
サステナブルシーフードは、大きく「天然」と「養殖」に分けて認証する仕組みがあります。このうち天然については、MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)による認証制度があり、資源を枯渇させず、漁場の生態系を守る方法でとられた魚介類に与えられます。

養殖業者についてはASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)による認証制度があり、海の生態系に悪影響を及ぼす化学薬品の使用を抑えることなどが求められます。 (写真のポスターの下にある青と水色のマークが、MSCとASCの認証)

日本料理店でも…

さらに、横浜市内にある日本料理店でも取り組みが進んでいます。

店内には「週1度はサステナブルシーフードを選ぼう」というメッセージも書かれています。

ランチで人気の海鮮丼でも、漁獲量を管理されたメバチマグロや、水質汚染に配慮された養殖場で育てられた銀ざけが使われています。

土鍋ごはんのかきは、かきいかだのロープに、ほかの生き物がかからないよう生産されています。
ほかにも、底引き網による海底への影響を最小限にして獲られた“銀ダラ”など、現在6つのサステナブルシーフードを仕入れています。

店では長年、港町横浜で料理店を営む中で、これから100年先を考えたときに、魚を提供してくれる海の環境を守らなければならないと強く感じるようになり、この取り組みを行うことになりました。

「きじま」事業戦略室長 杵島弘晃さん
「料理にサステナブルシーフードを使うことのみならず、こういったテーブルや床材、またお箸にいたるまで、可能な限り環境に配慮して管理された森林資源を使うようにしています。魚が食べるプランクトンなども、もとをたどれば栄養は山から供給されている、森林から供給されていると言われていますから」

取り組みを広げるために

店のこうした取り組みは、サステナブルシーフードの普及などに貢献した企業として高い評価を受けています。しかし、仕入れ価格は、一般的な魚と比べて、およそ1.2~2倍。IT管理で食品ロスや労働時間の無駄をなくすことで、仕入れの増加分を相殺しています。
そんな中、より身近に感じてもらいたいと新たにスタートさせたのが、デパ地下への出店でした。

サステナブルシーフードを使った総菜やお弁当を販売する、全国初の店舗。おいしくて環境にもいい食材が、食卓に並ぶきっかけになればといいます。

身近に買えるのがうれしいなって思います。

なかなか食べないからそういうのを意識することがないので、そういうふうに(環境のために)貢献できるんだったら、これからもぜひ買いたいと思います。

杵島さん
「味や価格以外の側面も評価してくださるお客様が増えているように感じています。社会やお客様の認知が進んでくれば、少しずつではあると思うんですけれども、こういった取り組みも拡大していくんじゃないかと思います」

この日本料理店では、消費者に自分たちの思いを知ってもらおうと、サステナブルシーフードを考える冊子を店頭に置いたり、ホームページに取り組みを数値化したグラフを載せたりしています。
サステナブルシーフードは、スーパーや冷凍ものの一部など、私たちの身近なところにも次第に広がってきているそうです。

 

  • 野田英里

    横浜放送局 キャスター

    野田英里

    「ひるまえほっと」「首都圏ネットワーク」 ラジオ「はま☆キラ!」などを担当 

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