首都圏情報ネタドリ!

  • 2024年5月24日

“お墓サブスク”供養のしかたも多様化 費用は?遺骨は?小谷みどりさん解説も

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いわゆる「墓じまい」などで、墓から取り出した遺骨を別の場所に移す「改葬」の件数は、この10年で2倍近くに増えています。

核家族や単身世帯が増え、人々のライフスタイルも変化する中で、一般的なお墓とは異なる、新たな弔いの形も登場しています。

定額制で移動可能な"墓のサブスク"や、墓を持たずに自宅で弔いをおこなう新たなサービスを利用する人々を取材しました。

「墓じまい」を特集する「首都圏情報ネタドリ!」はNHKプラスで配信します。

▲画像をクリックすると、配信で見られます▲
(配信期間:5/24(金) 午後7:30~5/31(金) 午後7:57)

都会のマンションで 新しい弔いの形

「墓じまい」をめぐるトラブルや費用、「墓じまい」のポイントについて、前編の記事でお伝えしました。

墓じまいトラブル 費用や人間関係の落とし穴 相場は?遺骨はどうする?“離檀料”求められるケースも

一般的なお墓とは異なる、新たな弔いの形も出てきています。

都内に住む森友靖生さん(68歳)は5年前に父親を、4年前に母親を亡くしました。

選択したのは墓ではない新しい弔い方です。

両親の遺骨を部屋に置ける形にして残しました。

丸い球のところに、粉状になった遺骨が入っています。

妻・森友敏子さん

両親は仲が良かったんですよ。おじいちゃまがおばあちゃまのお洋服をいつも選んで。ピンクとか淡い紫色が多かったんです。それで私は、義母にピンクを選びました。
その人に対するイメージでそばに寄り添ってもらうという感じですね。

森友靖生さん

都会のマンションですと、狭いところに仏壇を置くのはなんとなくはばかられるので。
ご先祖様には多少申し訳ない気がするんですけど、こうして置いておけばいつでも供養ができるかなと思っていまして。

あらたな形での弔い方を提案している会社には、海洋散骨や樹木葬など墓を持たない選択をした人たちからの相談が多いといいます。

絆プロジェクト 坂本眞奈美さん
「ご家族がいま日本中バラバラに住んでおられたり、海外にいらっしゃったりで、葬送の方法が多様化していて、皆さんいろんな考え方によって、いろんなことを選択するようになったと思うんです」

お墓のサブスクサービス

さらに定額制で移動も可能な“墓のサブスクサービス”も登場しました。

墓石は骨つぼを兼ねており、44の寺と提携し、引っ越しや代がわりの際に移動が可能です。

初期費用と毎月定額の費用で13回忌までの法要と維持管理がついてきます。

佛英堂 野呂英旦さん
「お子さんたちの代まで、縛りを設けたくないという方が非常に多いです。でも、しっかりとお寺に墓石を置きたいという方がいらっしゃるので、このような移動式のものを考えさせていただきました」

去年父親を亡くし、このサービスを利用している女性(50代)は、一人息子(20代)が転勤のある会社で働いており、将来のことも考えて利用を決めたといいます。

「導」と書いてあるのが、父親の墓石。専門学校で日本料理を教えていた父親をしのび、この文字を選んだといいます。

父の遺骨を預けている女性
「私たちがいなくなったあとも、息子が自分の近くのお寺に移動できるメリットがあるなと思って、利用しています」

女性は父親の月命日に母親と一緒にこの寺を訪れ、住職と話をしています。

住職

お父さん、料理学校で教えていたんですよね。

女性の母親

そうなんです。いまごろだとカツオが出るころでしょ。そうすると夫がたたきにしてくれて、あれは本当においしかった。

 

ええなあ

将来の不安が消えたことで心穏やかに故人を弔うことができているといいます。

女性

お寺で見守っていただけるというのは、すごくいいなと思います。

 

ここでお経をあげていただくと、気持ちが本当に落ち着いてきます。私もこういう形にしてもらいたいなと思っています。

墓のサブスクサービスと提携する 浄誓寺住職 稲森栄政さん
「先祖の供養をしていただいて、お父さん、お母さんに、今までのことを報告したり、感謝したりというのはものすごく大切なのですが、今生きている自分も大切にしてほしいなと思っています」

これから求められる弔いとは?

お墓のニーズの変化に関しては、こんなデータもあります。

都立霊園の申し込み件数をまとめたデータでは、これまでの一般的なお墓の申し込みが減る一方で、樹木葬や納骨堂など、家族や親族以外と一緒に納められる合葬墓の人気が高まっています。

親族による管理が不要で継承者も必要ないことや、費用が比較的安いことが人気の理由です。

東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県の人口10万人以上の自治体にアンケートをしたところ、20年前に9つだった公営の合葬墓がいま4倍に増え、36施設になっていることがわかりました。

例えば千葉市が整備した樹木葬の墓地では、生前に夫婦など2人分をまとめて申し込む枠が特に人気が高く、38倍もの倍率になったところもあります。

ただ、合葬墓は一度遺骨を納めたら、取り出すことが難しいことが一般的なので、その点を踏まえて検討する必要があります。

核家族や単身世帯が増える中で、先祖代々のお墓を維持したいという人は、どうしたらいいのでしょうか。お墓をめぐる最新事情に詳しい小谷みどりさんに聞きました。

シニア生活文化研究所 小谷みどり代表理事
「お墓に通うのが難しい人たちのために、自治体によってはシルバー人材センターやふるさと納税のサービスで、お墓参りの代行を行っているところもあります。一定のお金はかかりますが、そうしたものを検討してみるのも手です。
年間の管理料を前払いすれば、維持管理してくれる寺もあります。

人に管理を任せることにうしろめたさを感じる声もよく聞きますが、墓の維持が難しくなっているのは、そのあり方が今のライフスタイルや家族のあり方にあわなくなってきているのであって、決して個人の問題ではありません」

小谷さんは、これからは「墓の社会化」が必要だと指摘します。

「少子多死時代、亡くなる人は増え、どこかの墓に入る人が増える一方、墓の面倒を見る人は少なくなっています。血縁という『縦』の考え方ではなく、自治体・社会という『横』で継承していく、死者を弔うという考え方にシフトしていかないといけない時代が来ているのではないかと思います。

ただ地縁血縁がない中では、きちんと墓に入ることができるかどうかも分かりません。横須賀市では、亡くなってからの葬送や納骨などの希望を生前に聞き取り、不安を解消する取り組みも行っています。

安心して老い、死ぬことができる社会こそが、よりより今の“生”につながるのではないでしょうか」

<前編の記事>
墓じまいトラブル 費用や人間関係の落とし穴 相場は?遺骨はどうする?"離檀料"求められるケースも

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