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  • 2024年1月26日

中学受験2024 入試直前! メンタルケアは?睡眠は?食事はどうする? 専門家に聞いてみた

中学受験のリアル(9)
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首都圏の中学受験は、いよいよ来月(2月)1日から東京と神奈川で始まり、受験生はラストスパートの時期に突入します。直前期の受験生が緊張を和らげる方法は?また前日や当日はどんな食事がおすすめ?  
受験生のメンタルケアに詳しい専門家と、受験生に食事面でのアドバイスを行っている料理研究家に、話を聞きました。

皆さんの抱えている悩みやご意見、体験談などをもとに取材を進めていきます。  
投稿はこちらまでお寄せください。  
(首都圏局/記者 北城奏子)

直前期で何だか緊張…どうすれば?

まず話を聞いたのは、東京・文京区にある心療内科のクリニックの吉田たかよし院長です。およそ20年前から受験生を専門にメンタルケアを行ってきた吉田院長に、試験直前の受験生におすすめの緊張を和らげる方法や周囲ができるサポートについて聞きました。  
紹介する方法は、中学受験だけでなく、高校・大学受験、それに資格試験などの場面でも活用できるということです。

Q.受験生たちは本番を迎え、誰しも緊張すると思います。緊張しないためにどうすればいいですか?

【試験前日まで】  
3つの『込まない』が大切です。

1つが『長時間座り込まない』。脳は長時間座っていると不安を感じやすくなります。不安だと思ったらとりあえず立ち上がり、理想は屋外で歩くことなどをおすすめします。

2つめが『入試結果を考え込まない』。結果を考えれば考えるほど、脳の中で不安を作るへんとう体を使うことになり、不安が増します。そんなときは、音楽を聴くなど別のことをやってみるのも手です。

3つめは、『不安を1人で抱え込まない』。人に悩みや愚痴を聞いてもらうだけでも不安は癒やされると、カウンセラーの現場でも認識されています。聞いてもらうのは、例えば親など、自分のことを一番に考えてくれている存在で絶対的な味方となる人がいいです。信頼している塾の先生に話すのもいいと思います。

また、眠れないかもと不安に思う人もいるかもしれません。しかし、1日眠っていないことが脳の働きにもたらす影響はわずかです。また、『一睡もできなかった』と思っても、実際脳波をとってみると、結構眠れている場合が多いです。目を閉じて横になっているだけで脳はかなり休めているので、過剰に心配しなくて大丈夫です。

【試験当日の朝は】  
軽い運動、特にラジオ体操を行うのが不安感を抑えるのにおすすめです。ラジオ体操は、人体のかなりの関節を1度は動かせるようになっていて、バラエティー豊かな刺激が脳に加わっていきます。それによって不安感の暴走が抑えられます。

【試験会場では】  
最も注意が必要なのが、試験問題を配付している時間です。実は、試験の真っ最中ではなく、問題が配付されている時間に一番緊張感が高まるとされています。というのも、試験本番はトラブルがないように、模擬テストよりもはるかに長い時間を配付時間に充てているので、受験生本人はやることがなく、『試験で失敗したら嫌だな』など余計なことを考えてしまいます。また、ストレスを抱えている人が視野に入っただけで、見ている人の脳の中でもストレスが高まることが分かっていて、周りの受験生の顔を見ることで緊張が高まるおそれもあります。

そうした場合の対策は2つ。

1つは目を閉じることです。そうすることで、脳を休ませることも出来ますし、ほかの受験生を見ないことができます。

もう1つは、自分が試験で気をつけることを3つ程度、頭の中で考え続けることです。  
おすすめしているのは、たとえば『時間配分をしっかりやる』や『ケアレスミスをしない』、あるいは『最後まで集中力を切らさない』などを、何度も何度も頭の中で繰り返すと、その瞬間は不安なことを考える余裕が脳の中でいい意味でなくなります。

試験中に緊張して頭が動かなくなった場合には、頭の中で数字を唱えながら行う『筋しかん法』をやってみてください。  
筋肉の緊張と精神面の緊張は連動していて、いったん筋肉に力を入れると、そのときは交感神経が刺激を受けて、いったん緊張が高まりますが、脱力するときに筋肉がしかんすると、メンタルも一緒に緩んで、緊張感がより効果的に緩和されていくことがデータとして明らかになっています。

最短で効果があるのは、大体3秒間ぐらい、特に腕を中心に全身にぐっと力を入れます。このとき『1、2、3』と頭の中で数字を数えてください。そして、『4、5、6、7、8』と5秒間かけて筋肉を脱力しながらゆっくりと息を吐けば、一緒に脳の緊張もとけていきます。鉛筆は持ったままで大丈夫です。

Q.子どもが受験生です。試験会場に送り出す際、何と声をかけるのがよいでしょうか?

大事なことは、ふだんどおりに送り出すということです。例えば『行ってらっしゃい、頑張ってね』ぐらいの声かけで大丈夫です。このとき、表情もふだんどおりにすることを忘れずに。不安な保護者は、鏡で自分の表情がどうなっているのかを確認して、やわらかい笑顔を出す練習をやっておくと、送り出すときに自然な表情が作れると思います。

Q.複数の学校を受験する場合、途中で思うような結果が出ない時もあると思いますが、そういうときはどうすればよいですか?気持ちの切り替えに有効な方法はありますか?

まずは1人で抱え込まないことです。ぜひ家族に愚痴をこぼしてください。聞く側は『何かいいことを言って慰めよう』などと思わず、とにかく耳を傾けてください。たとえば『結果が出なくて悔しい』と言われたら、『そっか、悔しいんだね』など、受験生の言葉を繰り返すだけでも、心を癒やす効果があります。

そのほかには、時間を区切ってできる運動(例、バッティングセンター)や、歌が得意なら30分のカラオケ、手先を動かす楽器演奏などが切り替えにはおすすめです。  
ポイントは時間を区切って行うこと。時間を限らずにリフレッシュしようとすると、あとでネガティブな感情がより深まってしまうので、時間や回数は制限したほうがいいです。

吉田たかよし院長  
「合格することは自分の意志だけではできませんが、挑戦することは自分の意志で100%できます。全力を尽くして挑戦した経験は、その後の人生で何度も訪れる正念場で力になります。ぜひ挑戦することを大事にしながら受験を乗り越えてほしいです」

試験前日や当日 食事はどうしたら?

続いて話を聞いたのは、料理研究家の安部加代子さんです。自身の2人の息子も中学受験を経験し、7年ほど前から受験生の食事についてアドバイスを行う活動を続けています。  
受験前日と受験当日、2つの場合について話を伺いました。

Q.あしたは志望校の受験日。どんな食事がおすすめ?

魚と、体を温める汁物といった和食など、あっさりしたものがおすすめです。  
魚料理であれば、煮魚は煮汁に溶けた栄養素が一緒にとれますし、付け合わせにしょうがを入れると体を温める効果も期待できます。魚が苦手なら、肉はビタミンの入っている豚肉がいいと思います。消化しやすいように、かたまり肉よりは小さく刻んだものや、ひき肉などがいいですね。量は消化を考えて腹八分目くらい。また、最初に温かいスープやお茶を少し飲むと胃が活発になり、消化を助ける動きをしやすくなります。  
食べる時間は消化にかかる時間を逆算して、寝る3時間前くらいにしておくのが望ましいです。

Q.いよいよ受験当日。朝ご飯はどうしたらいい?

あまり気合いを入れたものではなく、食べ慣れた物がいいです。  
緊張で食欲がない場合でも、ポタージュスープなど温かいスープなどはほっとして体が温まると思います。例えばみそ汁でも、具が食べられなければ汁だけでもいいので、少し体に入れていくといいと思います。  
前日に子どもに『何が食べたい?』と聞いて、食べられるものを準備してあげるのが一番いいかなと思います。

Q.当日の昼食がお弁当の場合、何がおすすめですか?

おにぎらずやサンドイッチなどは、片手でも食べられるのでおすすめです。  
栄養バランスが偏らないよう、肉や野菜、卵などたくさんの具材を入れることもできます。  
また、かみ応えのある食材を入れるのもおすすめです。そしゃくが増える分、唾液が出て消化がよくなりますし、脳にも刺激がもたらされるといわれています。

安部加代子さん  
「食事の時間というのは、勉強のパフォーマンスにもかかわる一方で、リラックスできる時間でもあります。そうしたメリハリも考えつつ、お子さんのストレスを少しでも和らげてあげる楽しい時間にしてほしいです」

ゴールまであと少し!

受験生の皆さん、あとは、本番でふだんの力を発揮するだけだと思います。ただ、冷え込む日が続くので、体調管理にはくれぐれも気を付けてください。

みなさんは「中学受験」についてどのように考えていますか?  
私たちは「中学受験のリアル」と題して、皆さんからの情報や意見をもとに、取材を進めます。  
悩みや体験談、情報などぜひこちらまでお寄せください。

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