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中学受験2024 いよいよシーズン 注目の私立中学と背景は?入試予想と直前の過ごし方は? 専門家に聞いた

中学受験のリアル(6)
  • 2023年12月21日

首都圏の中学受験は、1月10日の埼玉県、1月20日の千葉県をはじめとして、2月1日には東京都と神奈川県で本格的に始まり、受験生はラストスパートの時期に突入しています。

首都圏の中学受験者数は、2015年以降増え続けていて、2023年には過去最多となるなど“過熱”しています。
この傾向は続くのか?どんな学校が人気なのか?入試問題の予想は?
志望校を決める上で大切なことは?家族の心構えは?
中学受験事情に詳しい首都圏模試センターの北一成さんに、たっぷり話を聞きました。

皆さんの抱えている悩みやご意見、体験談などをもとに取材を進めていきます。
投稿はこちらまでお寄せください。
(首都圏局/記者 桑原阿希)

“過熱する中学受験” 2024年の受験者数はどうなる?

Q. さっそくですが、2024年も受験者数は増えそうですか?

受験者数は9年連続で増加していて、2023年は5万2600人と過去最多となりました。2024年は、わずかに減って5万2000人と予想しています。小学6年生の人口が減ったことや景気の停滞などが主な要因とみています。ただ、バブル景気に沸いていた1991年(5万1000人)、いわゆる“ゆとり教育”の影響を受けた2007年(5万500人)の過去2回のピークを超える規模で、高止まっている状況です。
この傾向は、大学入試の変化の影響を受けています。大学入試は、知識量だけではなく、自分のことばで表現する力が問われる傾向があり、それにいち早く反応して、6年かけて対処している中高一貫校が注目されています。また、保護者が、自分たちが生きてきた時代とまったく異なる社会になっていること、見通せない将来への不安を感じていることなどを背景に、特色ある教育を実践している私立中学に入れたいという思いも反映されていると思います。

あなたの志望校はありますか?志望者数が増えそうな学校は?

志望者数が前年同時期より増加している学校
男子 女子
1位 日本工業大学駒場 1位 普連土学園
2位 横浜創英 2位 三輪田学園
3位 佼成学園 3位 京華女子
4位 足立学園 4位 横浜創英
5位 京華
成城
5位 聖セシリア女子
6位 中村
7位 サレジアン国際学園世田谷 7位 東京女学館
8位 東京電機大学 8位 江戸川女子
玉川聖学院
9位 獨協
10位 日本大学第一 10位 森村学園

(首都圏模試センター 2023年小6 第5回合判模試における志望校)

 

Q. 志望者数が増えると見込まれている学校に、共通点はあるのでしょうか?

ほとんどが中堅校と言っていいと思います。2023年の入試でも、志望者が増加した学校の多くは中堅校でした。これまでの模試などの結果からも、この傾向は2024年も変わらないと思います。

Q. なぜ中堅校を志望する人が増えているのでしょうか?

中学受験というと、一昔前は、多くが偏差値の少しでも高い難関校を目指す家庭が多かったというイメージがありましたが、今は、子どもの性格にあった学校を目指す家庭が増えています。中堅校の中には、これからの時代を見据えて、ユニークな教育を取り入れている学校も少なくなく、受験生や保護者のニーズを捉えています。

注目はグローバル、理系、高大連携 入試も変化

Q. 受験生や保護者は、どういう学校・教育に注目していますか?

1つ目は、「グローバル教育」です。グローバル化が進む中、海外に視野を広げた教育を実践し、留学はもちろん、海外大学への進学を目指す学校も少なくありません。
例:開智日本橋学園、広尾学園、文化学園大学杉並、三田国際学園、八雲学園など。

2つ目は、「理系教育」です。理系人材の育成のため、プログラミングやAI、ものづくりといった、これから欠かせない技術に早いうちから触れます。
例:大妻中野、芝浦工業大学附属、昭和女子大学附属昭和、山脇学園など。

3つ目は、系列や近隣の大学と連携を進める「高大連携」です。大学の教員らが中学・高校に出張して専門的な授業をしたり、中高生が大学に出向いて最先端の研究に触れたりします。大学の推薦枠も、人気に影響します。
例:麹町学園女子、順天、三輪田学園など。

Q. 入試も変わってきているのでしょうか?

従来からある国語・算数・社会・理科のペーパーテストでは推し量れない能力を見ようとする入試が増えてきています。「プレゼンテーション入試」「グループワーク入試」「思考力入試」などさまざまです。解答用紙に向かうのではなく、英語を使ったダンスなど、体を動かす表現や、プログラミングをしたり、おもちゃのブロックを作ったりと入試の光景は大きく変わっています。
このほか、英語を重視した入試や、英検資格を優遇する学校も増えつつあります。多彩な能力がある子どもを迎え、生き生きと伸ばせる環境を作りたいという学校側の考えがわかります。

Q. 多くの学校が個性を出していますが、受験生に注目されると、難しくなることはないのでしょうか?

倍率や偏差値が高くなって、予想外の難しさになるので注意が必要です。中でも募集定員が少なく、複数回の入試が行われる学校は、1回あたりの合格者数が少なくなるので注意してください。第1志望としてチャレンジするのはよいですが、「押さえ校」として選ぶのは避けた方がいいと思います。

入試に出そうなキーワードはSDGs! ほかには?

Q. 今回の入試で取り上げられそうなテーマやキーワードはありますか?

まず、国連が定める持続可能な開発目標=「SDGs」です。まさに、今の小学生が成長する過程で向き合う課題が反映されています。世界的な課題を自分事としてとらえ、解決のためにどうしたらよいのか、自分なりの考えを持つことを大事にしてほしいです。
また、身近な話題として話題に上がった「税」についても、考えを持っておくことをおすすめします。
新たに発行される「紙幣」にも注目しています。新紙幣に関する知識や背景はもちろん、お金を自分の生活に結びつけて考えておくといいと思います。

このほか、以下のようなテーマが挙げられます。
・戦争/紛争 ・関東大震災100年 ・新型コロナ5類移行 ・オーバーツーリズム
・東日本大震災(受験生の多くが2011年生まれ) ・猛暑
・ジェンダー/マイノリティー ・パリオリンピック・パラリンピック など

志望校どう選ぶ? 変える?変えない?

Q. 志望校をどうしようか悩んでいる受験生にアドバイスはありますか?

中には、直前の模試の結果などで悩んでいる家庭もあると思います。でも、第1志望はチャレンジ校で構わないので、このタイミングで変えることはおすすめしません。子どものモチベーションを落とすことにつながります。子どもたちは、第1志望合格に向けてこれまで頑張ってきました。その頑張りを尊重してほしいです。
その上で、保護者の責任として大切なのは、必ず「押さえ校」を選び、すべて不合格にならないようにしてください。合格もあれば不合格もあるでしょう。ただ、進学するかどうかはさておき、1校でも合格すれば、「ここまで頑張れた」と手応えと喜びを感じることができます。それは子どもの成長のためにも大切なことです。

小学校はどうする? 受験直前の過ごし方と心構えは?

Q. 受験直前、子どもを小学校に通わせるか休ませるか、悩む保護者もいると聞きます。どう考えますか?

個人的には、受験勉強のために学校を休むのはあまりおすすめしません。子どもは、学校で友だちと交流する中で、ストレスを発散しています。保護者と2人きりで勉強に向き合うのは、かえってペースを崩す恐れがあります。日常と同じように過ごすことをおすすめします。ただ、学校で風邪が流行しているといった状況があれば、体調を整えるという意味で休むのはありだと思います。

Q. 最後に、この時期だからこそ保護者に心がけてほしいことを教えてください。

小学生の能力はすさまじいものがあり、入試直前までぐんぐん伸びますし、受験中でも最新の問題を解くことで伸びていきます。焦らず、子どもを信じて励ましてあげてください。入試期間中はどんなことがあっても、保護者が動揺しないことが大切です。親が動揺したり悲しんだりすると、子どもは自分を責めてしまいます。「明るく前向きに」を心がけてください。

 

みなさんは「中学受験」についてどのように考えていますか?私たちは「中学受験のリアル」と題して、皆さんからの情報や意見をもとに、取材を進めます。悩みや体験談、情報などぜひこちらまで投稿をお寄せください。

  • 桑原阿希

    首都圏局 記者

    桑原阿希

    平成27年入局。富山局を経て首都圏局に。約20年前に中学受験を経験。結果は厳しく公立中へ。2月1日になると初めての受験の緊張感を思い出します。

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