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発達障害の子の学び 皆さんの投稿から見えた課題とは

  • 2023年10月26日

「発達障害の子どもの学び」をめぐる課題について、ことし3月から皆さんの投稿をもとに発信を続けてきました。今回は、これまでに寄せられたおよそ100件の投稿をまとめ、見えてきた課題をお伝えします。
(首都圏局  都庁クラブ/記者 尾垣和幸、生田隆之介)

これまでに100件の投稿 お寄せいただきました

私たちはこれまで不登校など発達障害をきっかけとした「二次障害」や「通級指導」、「教員不足」などの課題を扱ってきました。

各記事はこちらからご覧いただけます。

そして、これらの発信に対して、子どもの保護者や支援団体、教員などから、現場の切実な声を頂きました。寄せられた投稿はおよそ100件に上ります。

保護者からの投稿「私も伝えたい」

寄せられた投稿のおよそ6割は、発達障害やその傾向がある子どもを持つ保護者からでした。一部を紹介します。

横浜市の母親

息子に重度の学習障害があり、ひらがなを書けないレベルです。
学校からは『配慮しても全然できていない。対応しきれない』と言われ、保護者が自身で頑張るしかない状況です。

東京・江戸川区の保護者

子どもの特性を受け入れるまでの苦悩など、さまざまある。こうしてオープンな議論ができることで、救われる人はとても多いと思う。

投稿を寄せてくれた神奈川県に住む母親には、直接話を聞くことができました。
この母親は、自閉症の傾向がある長男の不登校に悩んでいるといいます。学校に支援を求めましたが、予算や教員、支援員の不足から難しいと言われたということです。

神奈川県の母親
「学校になじめないことが恐らく発端になって、傷つくような言葉を投げかけられたり、中にはちょっと暴力的なことが起きたりして、それがすごくつらくて『学校にいるのがつらい』って言うようになりました。
しかし、支援が受けられず、息子にとって学校には、安心できる場所も逃げる場所もありませんでした。だから、その時、死にたいと思ったと、最近になって聞きました。行政には、どこに住んでいても、なるべく同じように、困っている子どもたちが支援を受けられるようにしてほしいです」

そして、投稿してくれた理由については、「あまりこういう投稿をしないほうなのですが、記事を読んでいて、ちょっと他人事と思えなくなり、『これは私も伝えたい』と思った」と話してくれました。

特徴的なのは、1つの投稿にいくつもの悩みが含まれていたことです。
内容を分析すると、次のようになりました。

◇「不登校」などの、「二次障害」に関するもの 4割ほど
◇「発達・知能検査」に関するもの       4割ほど
◇教員などの専門性や理解の不足に関するもの  3割ほど  

このほか、通級指導や特別支援学級をめぐる悩み、情報不足による孤立、自治体や学校によって異なる対応の差、それに合理的配慮に関する意見などもありました。

教員からの投稿 「時間も労力も足りない」

次に、教員からの投稿です。

◇「教員不足」に関するもの            5割
◇「上司・同僚などに特別支援教育への理解がない」 4割あまり
◇「教員の専門性がない、高めにくい」       3割あまり

このほか学校内での業務量の多さや特別支援教育のあり方、地域差、それに保護者側の対応などに関する意見もありました。

横浜市の
女性教員

35人のクラスに5、6人の特性の異なる発達障害の児童がいる。それぞれの特性に合わせての授業は1人では無理だ。休み時間も常に気を張っていなければならず、トイレに行く時間もない。インクルーシブ教育は理想だが、時間も労力も足りない。

別の女性教員

専門性を要求されても、教員に求めるハードルだけが上がっているようでつらい。学校現場は世間が思うほど楽ではない。しかし、さらに要求は増えるばかり。どういうフォローをしてもらえるのか。

保護者や教員、子どもに負担が

投稿からは、教員の人数や専門性の不足に関する指摘が、保護者側だけでなく、教員などの学校側からもあり、発達障害の子どもをめぐって、共通の課題認識を持っていることが浮き彫りになりました。

私たちは取材を通して、国は自治体任せ、自治体は学校任せ、学校は教員任せのようにも見える構造の影響で、自治体間や学校間で対応に差が生まれたり、保護者や教員、そして子どもに負担を強いる状況になったりしていると感じました。
教員からの投稿で「学校現場が破綻している」と訴える声が印象に残っています。

今、何ができるのか

学校現場の教員不足の解消は、この問題も含めて喫緊の課題です。
ただ現状を改善するための方法としては、学校と外部機関の連携も重要です。教員が福祉や保健の専門家に相談しやすい仕組みを作るためです。
一方で、去年(2023年・令和4年)発表された文部科学省の調査では、専門家に「定期的に意見を聞いている」という小中学校は全国でおよそ15%にとどまると推計されています。
ベテランの教員からは「問題や課題を外部と共有したがらない学校の体質が要因の1つだ」という指摘もあり、学校側が、前例にとらわれず門戸を開くことが早急に求められています。
また、支援に関する情報が入手しづらく孤立を感じたり、現状に問題を抱えたりしている保護者にとっては、「親の会」など保護者同士で連携することも方法の1つです。

皆さんからの投稿をもとに、引き続き取材を進めていきます。
こちらの投稿フォームよりお寄せください。

  • 尾垣和幸

    首都圏局 記者

    尾垣和幸

    都庁担当 小学5年生の長男が発達障害の1つである「学習障害」などと診断されている。

  • 生田隆之介

    首都圏局 記者

    生田隆之介

    2014年入局。長野局、札幌局を経て首都圏局。都庁担当として教育や環境分野を主に担当。2歳の娘がいる1児の父。

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