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絵本作家・五味太郎 tupera tupera(ツペラツペラ)が語る型破りな魅力とは

  • 2023年9月15日

「きんぎょが にげた」などで知られる絵本作家・五味太郎さんに影響を受け、絵本を描き始めたトップクリエイターがいます。「パンダ銭湯」「やさいさん」などの作品が軒並みベストセラーとなっている、クリエーティブユニット「tupera tupera(ツペラツペラ)」です。

「大人になっても思い切り遊び、人生を全力で楽しむ」。そんな五味さんとの出会いが、tupera tuperaの、それまでの常識を大きく覆したといいます。(全2回の後編/前編を読む

“思い切り遊び、人生を楽しむ”五味さんの魅力

前編の記事では、絵本の世界を大きく変えたといわれる五味太郎さんの作品がどのように生まれたのか、五味さんのインタビューから掘り下げました。
(前編記事:絵本作家・五味太郎「きんぎょが にげた」など “絵本を変えた”独創性の源は

五味さんの作品に刺激を受けて絵本を描き始めたと語るのは、tupera tuperaとしてユニットを組む亀山達矢さんと中川敦子さんです。

中川敦子さんと亀山達矢さん

五味さんに出会ったのはユニットを結成する前、2人が20代のころでした。五味さんから子どもたちと自由に絵を描くワークショップに誘われ、五味さんを手伝うなかで親交を深めていきました。

ワークショップをおこなう五味さん(中央)

都内で行われたワークショップでは、五味さんに一緒に作品を作ろうと声をかけられたといいます。

中川敦子さん
「数回しか会っていない私たちに『やってみろ』みたいな感じで。上から目線ではなくて、私たちをすごく対等に見てくれて、『面白いもん、作るなあ』と声をかけてくれて。そういうところが懐が大きいというか、温かいですよね」

その日のワークショップは、子どもたちが筆と絵の具を持って大きな紙に自由に絵を描くというもの。

子どもたちが会場にあった紙や段ボールに絵を描き尽くし、まだ描く意欲が収まらずに「わーっ」と盛り上がっていると、五味さんが「亀山くんに絵を描こう」と言い出しました。

亀山達矢さん
「その時に、100人ぐらいの子どもが、僕を目がけて筆を持って、ぶわーっとやってきて。僕は全身絵の具だらけになって、僕も描かれるのが気持ちよくて。目の玉まで描かれちゃったんですよ。

後日、五味さんから、『描くのも実力だけど、描かれるのも実力だぞ』という訳のわからないメールがきました」

中川さん
「五味さんに出会って、ああ、こんなに大人も思いきり遊んでいいし、人生を楽しんでいいんだと思いました。

『学生まではちょっとはっちゃけて遊んでもいいけど、これから社会に出るからまじめにやっていこう』みたいに思っていたときに、五味さんに出会えたことは、本当に大きかったと思いますね。

遊ぶ時は本当に全力で楽しむという姿勢が、作るものにもはね返ってくる。ああ、格好いいなと」

絵本のイメージを覆した五味さんの作品

五味太郎「きんぎょが にげた」(福音館書店)より

五味さんの家に招かれるようになった2人。五味さんの作った絵本を手に取ると、それまでの絵本のイメージが大きく覆されたといいます。

亀山さん
「僕らは、起承転結のある物語が書けないと、絵本を作れないと勝手に思っていました。

でも、そうではなくて、文章がなくても、絵や造本、アイデアによって本が作れるというのは五味さんの絵本を見てすごく感じたんです。やっぱりすごく面白いし、やられたなという作品がいっぱいありますね。

五味さんの絵本作りと、人生を楽しむスタイルにひかれていって、ああ僕らも本を作ってみたいなって思ったのがきっかけですね」

五味さんの絵本へのこだわり

五味さんの絵本の細部へのこだわりにも驚かされたといいます。2人は、初めて作った絵本を五味さんに見てもらいました。インテリアとして飾ることもできる、蛇腹状の絵本です。

亀山さん
「五味さんは、最初はすごく評価してくれました。『すごい、これはいいよ、完璧だよ』と言って。でも後ろに絵を描いていないのを見て『だめだこりゃ』と。

蛇腹の本の後ろを全然処理できていないと言ってくれて。ああ、そうかと腑(ふ)に落ちて。で、今は後ろにも絵があります」

中川さん
「絵本はお話があって、それを一冊にとじましたというものではなくて、五味さんはその形、表紙、裏表紙、中の見返し、背表紙も絵本そのものであると。一つのプロダクトとしても絵本というものには魅力があるということを教えてくれました」

2人は子育てなど、ライフステージが変化する中で、五味さんに頻繁に会うことはできなくなりましたが、いまも五味さんから力をもらっているといいます。

中川さん
「五味さんはいつも見守ってくれている。会うとすごくパワーをもらえると同時に、安心もできる」

亀山さん
「とっても大切な人です。クリエイティブな部分の、生みの親ではないんですけど、僕らは勝手にそういうふうに思っています。

同じような本を作ると自分たちもつまらないと思っているので、やっぱり自分たちが今までやっていないようなことを、これからもどんどんやっていきたいと思っています」

【前編の記事を読む】
絵本作家・五味太郎「きんぎょが にげた」など“絵本を変えた”独創性の源は

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