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首都圏新築マンション初の1億円超え 晴海フラッグではすでに転売か

不動産のリアル(12)
  • 2023年4月19日

空前の不動産高騰が続く首都圏。新築マンションの平均価格が3月、初めて1億円を超えました。バブル期を含め、過去最高値を更新しましたが、これにはある理由がありました。
一方、今週は晴海フラッグでも注目の動きがありました。実際に入居が始まる前に、部屋が転売されるケースがあったのです。その驚きの価格とは?

※私たちは「不動産のリアル」と題して、空前の高騰が続く東京の不動産を取材しています。
皆さんの体験や意見をこちらまでお寄せください。

(首都圏局/不動産のリアル取材班 記者 牧野慎太朗)

首都圏新築マンション初の1億円超え

私たちは、これまで東京23区の新築マンションが「億ション」になるほど高騰している実態をお伝えしてきました。

しかし、今回、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県)で、3月に発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格が1億4360万円に達したと調査会社「不動産経済研究所」が発表しました。
ことし2月時点では、6778万円だったので急激な価格高騰となりました。月ごとの平均価格が1億円を超えたのは、バブル期はもとより、統計を取り始めた1973年以来初めてだといいます。
これを地域別に詳しくみてみます。

新築マンション 平均価格 前年同月比
東京23区 2億1750万円 (173.7%
神奈川県  5865万円 (5.4%
千葉県 4908万円 (5.5%
埼玉県 4804万円 (19.4%

平均価格押し上げの背景にある高級マンション

埼玉県を除き、ほかは軒並み上昇しています。特に顕著なのが東京23区です。
それでは、なぜここまで急激に価格が高騰したのでしょうか。
調査会社の担当者に取材すると、「これは23区全体でマンションが高騰したというよりは、都心に戸数が多い高級マンションが誕生したことが大きいです」という答えが返ってきました。

その高級マンションというのが、港区三田の「三田ガーデンヒルズ」という物件です。
地上14階建てで、再来年3月に完成が予定されています。その価格は1戸あたり平均4億円。1002戸のうち400戸が売りに出されていますが、これは23区で発売された新築マンションの3割に相当し、これが首都圏の平均価格を押し上げる要因になったということです。

住所が港区で、最寄りの「麻布十番駅」から徒歩5分ほどという好立地などの条件に、富裕層から大きな反響があり、すでに販売された400戸もほぼ完売しているということです。

また、同じ時期には山手線の「浜松町駅」直結の47階建てのタワーマンション(平均価格2億5000万円)も売り出されていて、これも影響を与えたとみられます。

新築マンション価格の先行きは?

価格の上昇が続く、首都圏の新築マンション。これからの市場はどうなっていくのか、調査会社の担当者にその見通しを尋ねました。

不動産経済研究所 松田忠司 上席主任研究員
「先月は極端な価格の上昇にはなりましたが、ことしは池袋や月島、西新宿などで高価格帯のマンションの発売も予定されています。高騰が続く工事費や土地代の影響でコスト面は下がる要素がなく、今後も新築マンションの価格は上昇する可能性が高いです。仮に売れなくても大きく値下がりするとは思えません。デベロッパーも東京23区では世帯年収1500万円~2000万円の人たちをメインターゲットに物件を供給しているため、高額な物件を買えないとなると、エリアを広げて考えるしかなくなると思います」

晴海フラッグでは転売始まる

一方、私たちが何度も特集してきた「晴海フラッグ」をめぐり、今週ある動きがありました。

この晴海フラッグの1室が実際に転売されていることが確認されたのです。マンションの完成はことし秋、引き渡しは来年の予定なので、入居前に売り渡す意向があるとみられます。

不動産仲介サイトに掲載されていた情報(4月17日時点)

不動産仲介サイトによると、気になる販売価格は9500万円。
調べてみると、その部屋は当初6190万円で事業者から販売されていたようなので、もし売却が成立すれば、3000万円以上高い値段での取り引きとなります。

晴海フラッグのマンションは、当初の販売価格が周辺相場に比べて安く抑えられ、投資家や不動産会社による購入が相次ぎ、実際に住みたいファミリー層が購入しづらくなっている実態が問題視されてきました。6月に新たに販売されるタワーマンションは、その抽選方法が一部見直されることが決まりました。

ただ、すでにこうした転売の動きが出始めたなか、入居を希望する人たちはどのように受け止めているのでしょうか。

過去2回落選した30代男性
「少なくとも仕組み上では、投資家や法人も第1希望の部屋には2倍の優遇倍率を持っているので一般世帯が有利な状況にはなっていないと思います。結局複数の部屋に応募されて優位性が希薄化してしまいます。販売方法を制限して売れ残ってしまうことを懸念する気持ちはわかりますが、これだけ人気が出ている物件だとその心配もないのではないでしょうか。せめて、タワーマンションの販売1期目で人気が確認された場合には2期目に再度方法を見直すことを考えてほしいです」

過去5回落選した30代男性
「販売担当者からは申し込みした3分の1が投資家や法人で、中にはすべての部屋に申し込んだ人もいると聞いていたので、2倍の優遇をしたところで結果はほとんど変わらないと思います。こんな事態になっているのに、これまで何年も販売方法を変更せずにきたことに、ずっと違和感を感じていました。タワーマンションに投資家たちが殺到して高倍率になると思うと、無理矢理にでも予算を上げて別の部屋に応募せざるを得ないかなと思っています」

東京都の担当者は、「晴海フラッグはファミリー層を中心に整備し、多様な方々に住んでほしい」と話していました。はたして、今の「晴海フラッグ」がそうしたものになっているのか。都や事業者も対策を取り始めていますが、まだ取材していて、現状に追いついていないと感じます。

私たちは、空前の高騰が続く東京(それ以外の地域でも歓迎します)の不動産事情を、皆さんからの情報や意見をもとに取材していきます。ぜひこちらから投稿をお寄せください。

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