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新型コロナ“発熱など症状あれば自主検査”仕組みとねらいは

  • 2022年11月30日

新型コロナの“第8波”や、インフルエンザとの同時流行が懸念される中、国は重症化リスクの低い人には検査や陽性者登録センターなどへの登録を「自分で」行うよう呼びかけています。一方、「この仕組みを知らない」という声も。
自主検査の対象は?発熱などの症状が出た場合、どのような行動をとればいいのか?もし自主検査や登録を行わない場合はどうなるのか?ポイントや注意点をまとめました。
(首都圏情報ネタドリ!取材班)

自主検査の仕組み 「知らない」という声も

これまで、発熱などの症状がある人は発熱外来などに行くことになっていましたが、それがいま変わりつつあります。

中学生から64歳までで、基礎疾患がない・妊娠していないなど重症化リスクの低い人は、症状が出た場合、まずは「自分で」検査キットを使って検査。陽性の場合は、都道府県の陽性者登録センターなどに「自分で」登録。さらに自宅療養することが呼びかけられています。

これにより、これまで感染拡大のたびに引き起こされた医療のひっ迫を避け、新型コロナとインフルエンザとの同時流行にも備えようとしています。

ところが11月中旬、都内などで発熱外来を設けているクリニックでは、受診のために待合室の外まで長い列ができていました。診察を受けた患者のうちおよそ9割は、中学生から64歳までの基礎疾患のない人たちです。

重症化リスクが低いとして、国が自主検査を呼びかけている対象者に、そうした仕組みを知っているのか尋ねると…

医師

自分で検査をするのを推奨しているのは知っていましたか?

患者

知らなかったです。

この医療機関では、第7波のピーク時には1日およそ300人の患者が発熱外来を訪れ、受け入れ能力を超えてしまいました。いま、患者の数は1日あたり百数十人まで再び増えていて、警戒感を強めています。

東京ビジネスクリニック 内藤祥医師
「一番必要なのは、医療現場がひっ迫してきたときに、軽症の方が自分で検査をするという社会の仕組みができあがっていることだと思います。感染のピーク時にいきなりそうしてくださいと言っても、やはりその仕組みが社会になじむまで時間かかりますので、いまの時点からこの仕組みはきちんと実施したほうがいいと思います」

仕組みを知らない場合 サポート受けられない可能性も…

もしも重症化リスクが低いとされる人が、自主検査や陽性者登録センターなどへの登録を行わない場合、どのようなことが起きるのでしょうか。

東京都の陽性者登録センター申請フォーム

国は医療機関などの負担を減らすため、9月から新型コロナ感染者の全数把握を簡略化し、詳しい報告の対象を重症化リスクが高い人に限定する運用を全国一律で始めました。

重症化リスクの低い人は、自主検査で陽性となった場合、陽性者登録センターなどに自分で登録を行えば、健康観察や配食サービスなどを受けられます。

東京都の陽性者登録センター

一方で登録をしていない場合は、体調が急変しても把握されず、サポートを受けられないおそれがあるのです。

インフルエンザとの同時流行の懸念

さらにいま懸念されているのが、新型コロナとインフルエンザの同時流行です。

東京都八王子市にある病院の発熱外来では、新型コロナとインフルエンザの両方がチェックできる抗原検査を実施しています。去年とおととしは、インフルエンザの患者はほとんどいませんでしたが、ことしは、11月上旬ころから連日、感染が確認されています。

インフルエンザは本来、一般の医療機関でも診療できるため、受け皿が多くあります。しかし新型コロナの自主検査をせずに、コロナかインフルエンザかわからず発熱外来を受診する患者が増えると、発熱外来がひっ迫する恐れがあると懸念されているのです。

南多摩病院 光永敏哉医師
「(新型コロナは)特殊な扱いのままになっているので、それが一番ボトルネックになっているのかなと感じますね。現場としては3年間、その現状がほぼ変わっていないので、(医療機関)全体でカバーしていかないと、なかなかこの現状を打破できないんじゃないかなと思います」

今後の新型コロナの感染拡大の見通しや、私たちにどのような行動が求められるのか、新型コロナ対策にあたる政府の分科会のメンバーで、感染症に詳しい東邦大学医学部教授の舘田一博さんに聞きました。

東邦大学医学部教授 舘田一博さん
「12月末から来年1月までに、次の波がくるのではないか、その時にインフルエンザとの同時流行が懸念されています。その場合、1日75万人を超える発熱患者が出るという国の想定があります。そうなったときに、発熱外来はできるだけ重症化リスクの高い人を優先して診る。一方、重症化リスクが少ない人たちは自分で検査をして、健康フォローアップセンターを利用する。徐々にでもいいので、こうした体制に移行していくことが大事です。インフルエンザに関しては早ければ年内にも、両方検査できるキットをネット・薬局で一般向けに販売できるようになる見通しです。どちらに感染しているか受診する前にある程度分かれば、医療機関の負担も多少軽減できると思っています」

両方検査できる検査キットではありませんが、新型コロナの検査キットについて東京都では、症状がある人や濃厚接触の疑いがある人はオンラインで申請すれば無料でもらうことができます。

これまでの教訓を生かし対策をアップデートしていくことが、行政や私たちに求められています。

 

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