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ヤングケアラー 全国自治体アンケート 家族全体を支援する必要性も…

~SOSなき若者の叫び(4)
  • 2022年5月6日

NHKは、家族の介護やケアにあたる18歳未満の子ども「ヤングケアラー」の支援にあたる自治体を対象にアンケート調査を行いました。対象は全国の都道府県、県庁所在地の市、政令指定都市、中核市、それに東京23区で、1つの市を除く155の自治体から回答を得ました(2022年3月中旬から下旬に実施)。
アンケートを通して、当事者だけでなく家族全体を支援する必要性が浮かび上がってきました。
(NHKスペシャル「ヤングケアラー SOSなき若者の叫び」取材班
記者 鵜澤正貴/ディレクター 先崎壮・棚原大悟)

※文中のグラフは小数点第1位まで表示。

実態調査の実施について

はじめに国が各自治体に対し、ヤングケアラーが実際にどの程度いるのか、実態調査を行うことが望ましいという方針を示していることから、これまでに実態調査を行ったかどうか尋ねました。

その結果、全体の39%にあたる61の自治体が「行った」と回答しました。一方、「行っていない」と回答した93の自治体のうち、「今後行う予定がある」と回答したのは35の自治体で、「行う予定はない」と43の自治体が回答しました。

「行っていない」と回答した自治体からは、「部署が決まっていない」とか「体制や準備が整っていない」といった理由のほか、「国の調査などで一定程度いることは明らかなため、調査よりも支援策を優先している」という意見もありました。

専用の相談窓口について

ヤングケアラーの相談を受け付ける専用の窓口や部署が決まっているか尋ねたところ、全体の35%にあたる54の自治体が「決まっている」と答え、63%にあたる98の自治体が「決まっていない」と回答しました。

ヤングケアラー家庭の課題について

ヤングケアラーがいる家庭がどのような課題を抱えていたか、特に問題だと思われたものについて、選択肢から複数回答で聞いたところ、124の自治体が「食事や洗濯など家事の負担」を選び、80%と最も多く、次いで「学業や進路」と「支援に対して非協力的な親」がいずれも70%、「生活費や食費などお金の問題」が67%などとなりました。

本人にたどりつくまでに困難に感じること

ヤングケアラー本人にたどりつくまでに困難に感じることを選択肢から最大3つまで選んでもらったところ、「本人に『ヤングケアラー』との自覚がない」が81%、次いで、「家族が支援を求めようとしない」が78%でした。

実際に支援する際に困難に感じること

実際に支援する際に困難に感じることを選択肢から最大3つまで選んでもらったところ、「家族が支援を拒む、もしくは求めてこない」が最も多く77%、次いで「本人が支援を拒む、もしくは求めてこない」が76%、「問題が多岐に渡るため1つの部署・機関では対応しきれない」が50%、「家庭の問題にどこまで入り込んで支援すべきか判断できない」が20%でした。

特に必要だと思う支援について

ヤングケアラーに特に必要だと思う支援を選択肢から最大5つまで選んで回答してもらったところ、最も多かったのが「ヤングケアラー本人へのケア」で72%、次いで、「家族全体の支援」が69%、「関係機関や専門人材の連携」が67%、「学校での相談体制や学習支援」が61%などとなりました。

元ヤングケアラー支援の必要性について

18歳を過ぎたヤングケアラーの経験者、「元ヤングケアラー」への支援の必要性をどの程度認識しているか尋ねたところ、「ある程度認識していた」が最も多く61%、次いで、「あまり認識していなかった」が17%、「大いに認識していた」が16%、「全く認識していなかった」が1%などとなりました。

アンケートから明らかになったこと

ヤングケアラーをめぐっては、本人にその自覚がなかったり、家族の問題を知られたくないと思っていたりして、表面化しにくいことが課題とされてきましたが、本人のみならず、家族についても同様に自治体が課題と感じていることがアンケートから明らかになりました。

家族が支援を拒んだり、求めてこなかったりする理由については、「第三者に介入されたくないと思っている」、「家族も『ヤングケアラー』の問題を認識していない」などの記述が見られました。

専門家“さまざまな角度でアプローチを”

ヤングケアラーの調査や研究、支援に取り組んでいる大阪歯科大学の濱島淑恵教授は、自治体へのアンケートで、実際に支援する際に困難に感じることとして、「家族が支援を拒む、もしくは求めてこない」が77%にのぼったことについて、次のように述べました。

大阪歯科大学 濱島淑恵教授
「支援を受け入れることは、自分のプライベートに他者が踏み込んでくるということになるので、そう簡単に受け入れられるものではないということ。日本社会にはまだ家族で家族のケアをするのが当たり前だというような感覚もある。なぜ拒否的なのか、いま関係ができているヘルパーやソーシャルワーカーなどから情報を得て、探っていくことも大事になってくる。さまざまな角度でアプローチをしていくことが大事で、すぐに家庭に入っていけないとしても子どもに寄り添って話を聞くことはできるはずで、ぜひそういった支援は行ってほしい」

NHKではこれからも、ヤングケアラーについて皆さまから寄せられた疑問について、一緒に考え、できる限り答えていきたいと思っています。
ヤングケアラーについて少しでも疑問に感じていることや、ご意見がありましたら、自由記述欄に投稿をお願いします。

疑問やご意見はこちらから

  • 鵜澤正貴

    首都圏局 記者

    鵜澤正貴

    2008年入局。秋田局、広島局、横浜局、報道局選挙プロジェクトを経て首都圏局。

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