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都内初のオミクロン株クラスター「東京大神宮」で何が?緊急報告

  • 2022年1月21日

最新のゲノム解析などから、これまでの変異ウイルス以上に高い感染力を持つことが明らかになりつつある「オミクロン株」。従来の対策を講じていても感染を防ぐことができず、クラスターが発生するケースが出始めています。
毎年、初詣に多くの参拝者が訪れる東京大神宮では、都内で初めてオミクロン株のクラスターが発生。職員ら18人が感染し、神社が一時“機能停止”に陥るというかつてない事態となりました。感染はどのように広がったのか。そして、今私たちに求められる対策は。
(首都圏局/記者 氏家寛子 ディレクター 大淵光彦・高橋 弦)

都内初 オミクロン株によるクラスター

今回の事態は去年の12月31日、東京大神宮に勤める職員1人の体調不良から始まりました。休みをとっていた職員がPCR検査を受検。するとその日の夕方ごろに陽性が発覚し、新型コロナに感染していることが分かりました。

当時、その連絡を受けた北村太一さんです。新型コロナの感染者が身近で出るのは、初めてのことだったと言います。

東京大神宮 北村太一さん
「身近なところで陽性が出るということは、なかなか経験がございませんでしたので驚きしかありませんでした。それからは急きょ、職員全員がPCR検査を受けるという処置をしたわけでございます」

まさかクラスターが発生するような事態になるとは思っていなかったという北村さん。しかしその思いとは裏腹に、事態は悪化していきます。

翌1月1日には新たに職員8人の新型コロナ感染が発覚。その後18人にまで感染が広がり、都内で初めてオミクロン株のクラスターと認定されました。濃厚接触者の特定のために調査された対象は100人あまり、そのうち少なくとも40人が濃厚接触者になったといいます。

“機能停止”に陥った神社 オミクロン株クラスターの脅威

コロナ禍以前は三が日の初詣に毎年およそ4万5千人が訪れ、ことしも元日と2日、大勢の人が訪れていた東京大神宮ですが、クラスターの発生を受けて1月3日から一般参拝を中止。濃厚接触者となった職員やアルバイトは自宅やホテルに待機を余儀なくされ出勤が出来なくなり、残されたのはわずか5人の職員でした。

残った職員は、神事や保健所とのやりとり、再開に向けた感染対策の強化などにも追われ、北村さんもおよそ2週間神社に泊まり込んで対応にあたりました。事業の継続は難しく、一般参拝以外の祈祷や結婚式など200件以上を中止せざるを得ませんでした。

北村さん
「濃厚接触者などの隔離や自宅待機といった期間が大変長く、それに縛られることが大きなことだったように感じます。残った職員として、特別な態勢で勤務をしましたが、異常事態、緊急事態であり、初めてのことでした」

“対策していたが・・・”感染力の高さあらわに

感染はどのように拡大したのか。感染経路などの調査にあたった千代田区の保健所は、職員らが使用する食堂で感染が広がった可能性が特に高いとしています。

ただ、当時食堂では、感染対策が行われていなかったわけではありません。テーブルの中央には飛沫をさえぎるためのアクリル板を設置。換気扇を回し、寒い中でも窓を開けるなど、換気も行っていたといいます。

しかし保健所によると、窓の反対側にある入り口が閉まっていたため空気が流れず、換気は十分とは言えませんでした。
さらに、年末年始の参拝者への対応に備え、新たにアルバイトを雇っていたため、建物内には通常より多くの人が出入りしていました。
また、繁忙期で、食事をしながら打合せをせざるを得ないこともあったといいます。

これまでの感染対策で新型コロナの感染者を1人も出してこなかった東京大神宮。しかしオミクロン株の感染を防ぐことはできませんでした。

北村さん
「大変強い感染力だと感じています。もちろんこの12月は、昼食時に打ち合わせ等の会話があったということなどについて、やはり少しの気の緩みがあったのかと強く反省をしております。ただ、日々の注意というのは怠ることなく続けてきました。それでもオミクロン株は感染力がとても強くて、感染をどのように防いでいくかということは、非常に難しい問題であると感じています」

今まで以上の感染対策徹底を ポイントは

これまでの対策では感染拡大を防ぎきれないケースがあるというオミクロン株。東京大神宮の調査にあたった千代田保健所の原田美江子所長は、今回の感染拡大を踏まえて、オミクロン株と対峙するためのポイントを以下のように示します。

(1) 換気の徹底 特に古い建物は注意
今回クラスターが発生したのは、築年数が古い神社でした。古い建物には十分な換気システムがついていない場合が多く、窓を閉め切っていたり、開け方が足りなかったりすると密になりやすいため、サーキュレーターやCO2センサーを活用して、確実に換気を行うことが有効だといいます。換気のポイントは空気の流れをつくることで、空気の入り口と出口を確保し、きちんと流れているか確認することが必要です。

二酸化炭素濃度を測定することができるCO2センサー。換気の状況を調べる目安として飲食店などでの利用が広がっている。正確に測定できる機器を使い、二酸化炭素濃度が1,000ppm以下になるよう換気を行うのが感染対策に有効とされている。

 

(2)黙食を徹底 飛沫対策で防げないケースも
今回感染が拡大した可能性が特に高いとされている食堂。アクリル板や換気など、従来有効とされてきた対策が講じられていながら、感染を止めることができなかったと見られています。オミクロン株は感染力が高いとみられ、例え対策が講じられた場でも、食事の際は黙食を徹底することが大切だといいます。

(3) マスクは隙間なく つけ方を改めて確認
実はマスクをしていても、正しく着用できておらず隙間だらけという人が少なくないため、特に狭い部屋で人と接する機会などがあるときは、鼻の横などにも隙間が出来ないよう、ぴったりとマスクを着用することが重要だといいます。

原田さんは、社会活動を止めないためにも、これまで以上の厳格な対策が必要になるのは間違いないとしたうえで、協力を呼びかけます。

千代田保健所長 原田美江子さん
「今回私たちは、これだけ大勢の方に活動してはいけないと申しあげるのは、とてもつらかったです。だからこそ一般企業の方には、大変なことだけれども、ぜひ職場環境に気をつけていただきたい。マスクを外して会話することは絶対にしてはいけない。そして換気もしっかり考える。本当はみなさん、おしゃべりしながらお食事をしたいと思うんです。でももうしばらく我慢していただけないかなと、それを守っていただければ、なんとか乗り切れると思います」

東京大神宮再開へ 感染対策 より一層注力

都内初となるオミクロン株のクラスターが発生した東京大神宮。それから1週間あまりがたち、再開に向け、より感染対策を徹底して参拝者を迎えるための準備が進んでいました。

参拝者が密集しないように入り口と出口を分け、参拝経路を一方通行に。さらに、参拝者同士の間隔をあけるため、参道にテープで印をつける作業などが行われていました。

それ以外にも、食堂は定員をこれまでの半分にあたる4人に減らし、新たにサーキュレーターも設置。お守りやお札の手渡しについては、当面神社での授与は自粛し、郵送などで対応することにしました。

さらに、こうした新たな感染対策について、自宅などで隔離されている職員にオンライン会議で情報を共有。再開後に感染対策を徹底できるよう努めました。

そして1月17日。2週間の隔離期間を終え、職員たちが復帰。東京大神宮では一般参拝が再開され、待ちわびていた参拝者の姿が見られました。

男性 40代

何年も前から毎朝、お参りさせてもらっているので、あらためて新しい年を迎えられたかなという感じですね。

女性 40代

若干不安はございましたけれども、でもやはり年の初めに手を合わせたいという気持ちのほうが強かったので、参拝させていただきました。

全国で感染が急拡大している中、参拝を再開した東京大神宮。大勢の参拝者が集まり「密」が生まれる懸念があるため、時期や時間をずらすなど、感染対策に最大限留意した参拝を呼びかけています。今回の事態を機に、高い危機意識を改めて持ちたいとしています。

東京大神宮 北村太一さん
「一日も早くこの場を再開していくことが最も大切なことだと思っておりましたので、この日を迎えられたことは大変喜ばしいことだと思います。対策については、日々の個人でできる注意点をもう一度再確認して、より高い危機感を持つ。この点に尽きると思います」

  • 氏家寛子

    首都圏局 記者

    氏家寛子

    2010年入局。岡山局、新潟局などを経て首都圏局に。 医療、教育分野を中心に幅広く取材。

  • 大淵光彦

    首都圏局 ディレクター

    大淵光彦

    1998年入局。報道局おはよう日本を経て2021年から首都圏局。ヘイトスピーチやネットの誹謗中傷など、人権にかかわる企画を制作。

  • 高橋 弦

    首都圏局 ディレクター

    高橋 弦

    2017年入局。広島局を経て2021年から首都圏局。教育や不登校、災害・防災について取材。

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