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新型コロナとRSウイルス感染増加 子どもの医療に危機感

  • 2021年8月11日

新型コロナの急激な拡大で、子どもの感染者も増えています。さらにRSウイルス感染症の拡大も重なり、小児医療の現場では「このままでは医療崩壊する」という声が上がっています。
(横浜放送局/記者 寺島光海)

コロナ感染 子どもも急増

川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院では小児病棟60床のうち、部屋を分けて感染対策を徹底したうえで、最大12床をコロナ患者用にあてています。

取材した日も(7月29日)防護服を身につけた看護師が、小さな子どもをだっこしてミルクをあげていました。子どもが重症化することはほとんどなく、これまで病床がいっぱいになったことはありませんが、神奈川県内ではこどもの感染者が急増しています。

10歳未満と10代の感染者数は6月27日から7月3日の週にはあわせて211人でしたがその後、急激に増え、7月25日からの週には5倍以上の1141人になりました。

親の世代も感染急増 子どもの面倒見られず

親の世代にあたる20代から40代の感染者数もおよそ5倍に増えています。面倒を見ている親の症状が悪化すると、子どもの症状が軽くても病院で受け入れなければならず、患者は増加傾向にあるといいます。

聖マリアンナ医科大学病院小児科 勝田友博 医師
「子どもの感染は家庭内感染など、ほとんどが大人からです。保育園などでクラスターの発生も出てきているので、今後患者が増えてくると、こういった病棟では対応しきれない可能性が十分でてきます。医療崩壊に近くなると思います」

コロナの子どもの心のケアを

この病院では、親と離ればなれで病気と闘わなければならない子どもたちの、心のケアに力を入れています。

コロナの拡大以降、遊び場だった病院内のプレイルームは閉鎖され、季節ごとのイベントも中止になりましたが、1日中、病室で過ごす子どもたちの気持ちを和らげようと、紙細工やイラストで飾りつけました。

病室には看護師も限られた時間しか入ることができないため、タブレット型の端末を貸し出して、ナースステーションの看護師と会話ができるようにしました。
 

聖マリアンナ医科大学病院小児病棟 沼里貞子 看護師長
「親御さんが入院しているケースが多くて面会に来られず、子どもさんはとてもさみしがっています。顔を見ながらきょうどうしていたとか、ビデオ何見ているのという感じでやりとりしています。こういう道具を使いながら子どもたちが少しでも癒やされるように環境を整えています」

コロナ以外の小児医療 RSウイルス流行でひっ迫

コロナ以外の小児医療の現場でも危機感が高まっています。
川崎市立多摩病院では、子どものコロナ患者を受け入れていませんが、聖マリアンナ医科大学病院の小児科がコロナ対応に人手を割くために一般の病床を減らす中、それ以外の患者を受け入れています。

生後6か月以下の赤ちゃんなどが感染すると重症化するおそれがあるRSウイルス感染症が流行し、29ある小児病床はほぼ満床の状態が続いています。
取材した日も(7月30日)生後1か月未満の乳児が高濃度酸素の治療を受けていました。病床に空きがでるとすぐに埋まる状況で、これまでなら入院する症状があっても、待ってもらっているということです。

川崎市立多摩病院 宮本雄策 小児科部長
「特に月齢の低いお子さんで、状態の悪い子が多く出ていて、病棟としては稼働率が高い状態が続いています。子どもの感染症は急に状態が悪くなる場合もあり、空いている病床がいくつあれば安心ということはありません。感染状況がこれ以上悪化すると、通常受け入れていたお子さんに十分な医療が提供できなくなる不安があります」

取材後記

取材を受けてくれた医療現場の人たちは、これ以上病床が埋まればコロナだけでなくほかの病気の子どもたちも救えなくなると強い危機感を抱いていました。そして、今起きていることを伝えてほしいと訴えていました。
私は1人暮らしですが、会社に行けば小さい子どもを持つ同僚や上司がいます。これだけ感染者が爆発的に増えている今、感染症対策を徹底していても、誰がどこでどう感染するかわかりません。小さな子どもたちが病気を発症したとき、すぐに受け入れてもらえる病院があるという当たり前の状況を守るためにも、自分が感染せず、周りの人にも感染させないように、いま一度それぞれが行動を考える必要性を感じました。

  • 寺島光海

    横浜放送局 記者

    寺島光海

    2013年入局 神奈川県警担当 捜査1課の取材を中心に県内の事件事故と向き合う モットーは「ひたむきな努力」

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