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“スローシティ” 群馬 赤城地域 今ある魅力を大学生が再発見

  • 2021年5月2日

「何もないのではなく、見ようとしていなかったんだなと思いました」
群馬県前橋市で、地域の良さを再発見しようと取り組んでいる大学生の言葉です。「SDGs」の目標の1つ、「住み続けられるまちづくり」を自分たちの目線で実践している大学生たちは、活動を通じて発見したものがありました。
(前橋放送局/記者 木下健)

「スローシティ」赤城地域の魅力を地図で

若者たちが自転車で走るのは、群馬県を代表する山、赤城山のふもとです。前橋市内の大学の学生が、地域の魅力を見つけようとゼミの活動でフィールドワークを去年から始めました。
スピードや経済性を優先させるのではなく、地域の文化や自然を大切にしたまちづくりをめざしている、「スローシティ」を掲げる前橋市の赤城地域を回っています。

学生たちは、同じ若い世代の人たちに地域の魅力を知ってもらい、訪れるきっかけにしてもらおうと注目した施設を地図にまとめました。新しいものを作るのではなく、いまある地域の良さを再発見しようという取り組みです。

地図では、地産地消の料理を出すカフェや古民家を活用した施設などを紹介しています。
例えば、紹介した店の一つ、地元で採れた無農薬の野菜を使うカフェは、地図では「健康のベースは食にあり」と紹介しました。

店主
「地元の地図に載せてもらえるのはうれしいです」

何もないのではなく、見ようとしていなかった

地図作りに参加した、桐生市出身の大学4年の河内真夕さんです。

元々は海外と日本の懸け橋になる仕事を目指し、タイでの異文化研修や韓国への短期留学なども経験していました。しかし、この活動を通して、地域への思いが変わったといいます。

共愛学園前橋国際大学4年 河内真夕さん
「赤城のエリアは、スノーボードに行く通過点でしかなかったので、本当に何もないなという思いだったんですけど、実際に歩いてみたり、地域の人にお話をお伺いしたりして、何もないんじゃなくて全然見ようとしてなかったんだなと気づきました」

河内さんは、この地区に長年住み続けているそば店の女将、浅見明子さんに注目しました。

店の裏に浅見さんが設けた美術館です。店を切り盛りする傍ら、浅見さんが描きためてきた作品を展示しています。

河内さん自身、浅見さんのそば店は知っていたものの、この美術館の存在は知りませんでした。はじめてこの場所で浅見さんの作品を見たとき、自分の悩みに寄り添ってくれるような絵と文章が心に響いたといいます。
中でも河内さんが感動したのは、赤城山中に咲く花の絵とともに、「支えがあるっていいね」という詩が添えられた作品です。

支えがあるっていいね
何かを分け合うっていいね
きっと苦しい事も半分になるよ
楽しいことは倍になるよ

そば店の女将 浅見明子さん
「こういう仕事をしていると、お客さんに支えられたり、従業員に支えられたり、家族に支えられたりと、自分の中にいろいろ支えられてるなというのがありました」

河内さんは、詩を通して支えあいが「住み続けられる」地域につながっていると感じたといいます。そして河内さんは、市役所の職員になって地域の課題に取り組みたいという新たな夢を見つけました。

共愛学園前橋国際大学4年 河内真夕さん
「外側だけ見たらそれで済んでしまうけれど、深く踏み込んだから気づけたことや、新しい人との関係を作っていく楽しさを学べたので、地元でもやってみたいなと思うようになりました。新しいものをどんどん作るんじゃなくて、今あるものを大切にするという考えの方が多くいることを知ったので、将来はそれを生かして桐生市を盛り上げていきたいなという思いが芽生えました」

思いは後輩たちにも受け継がれ

今あるものを生かして新たに人を呼び込みたいと、フィールドワークは、後輩たちにも受け継がれています。

3年生は、この日、地域で見ごろを迎えた花を取り上げました。

ふだんは注目されることが少ない地域の自然の魅力も知ってもらい、多くの人に訪れてもらいたいという思いからです。

さっそく、インスタグラムに投稿します。

若者の視点で地域を再発見する取り組みを通じて、学生たちも「住み続けられる」まちづくりに関わり始めています。

大学3年生
「遠くてわざわざここに来ようという目的がないと疎遠になりがちなので、若者の視点でもっと大学生として発信していけたらいいなと思います。赤城の人とも一緒にイベントとか企画運営したいなと」

大学生が作った地図は、日本語のほか英語や中国語、イタリア語版があり、赤城地域の飲食店のほか前橋市役所などで無料で配られています。

  • 木下健

    前橋放送局 記者

    木下健

    平成20年入局 さいたま放送局、 山口放送局、経済部を経て現所属

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