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「SDGs」をわかりやすく カルタを作った高校生たちの気づきと変化

  • 2021年5月1日

最近よく耳にする「SDGs」ということば。「Sustainable Development Goals」の略で、日本語にすると「持続可能な開発目標」です。でも、「なんだか難しそう」「自分には関係ないかな」と感じる方もいるかもしれません。そうした中、SDGsをより多くの人に知ってもらおうと茨城県つくば市の高校生たちが考えたのが「カルタ」でした。
(水戸放送局/記者 田淵慎輔 ディレクター 横山紗也香)

「SDGsカルタ」ってどんなカルタ?

「SDGsカルタ」を作ったのは、茨城県立竹園高校の生徒たちです。

自分たちのカルタで真剣勝負!

ロボコンや英語のディベートの全国大会出場者など、個性豊かなメンバーが集まりました。
カルタは「A」から「Z」で始まる英文で、SDGsの考え方が紹介されています。

●SDGsとは
「Sustainable Development Goals」の略で、日本語にすると「持続可能な開発目標」のこと。国連で採択された、2030年までに解決を目指す世界共通の目標で、「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「気候変動に具体的な対策を」など17の項目からなる。

高校生が作ったのは、こんなカルタです。

・「A」の札
All people have the right to receive education.」
(誰にでも教育を受ける権利がある)

・「B」の札
Better education for better jobs.」
(よりよい教育をすべての子どもたちへ、よりよい仕事をすべての働く人たちへ)

・「V」の札
Valuable electricity must be used with kindness and consideration.」
(無駄な電気は消そう、あなたの優しい心で)

「やらなければ、ゼロで終わる」

生徒たちがSDGsカルタを作ったきっかけは、おととし12月、JICA=国際協力機構のSDGsをテーマにしたワークショップに参加したことでした。
そこで、講師から、「知識や気づきがあっても、実践がなければ意味がない」と言われたのです。

生徒
「『学びというのはかけ算で、実践が1でもあれば何倍にも膨らむけど、ゼロだったらゼロで終わるんだ』と聞いて、1でもやればすごく大きなことになるんだと感動しました。何かをやるなら大きなことをなさなきゃならないと思っていたんですけど、1でもいいから、やればやっただけ大きなことになるんだと学びました」

スマホにはその時の講義のスライドが保存されていた

『実践することに意味がある』

そう学んだ生徒たちは、SDGsへの理解を広げるために何ができるのかを話し合いました。
そこで思いついたのが、13年前の先輩たちが作った「環境かるた」でした。今では、つくば市内の小学生を対象にカルタ大会が開かれるほど親しまれています。

先輩たちが作った「環境かるた」

楽しみながらSDGsを知り、自分事として考えてみてほしい。
カルタの制作が始まりました。

大変!「A」から「Z」までの英文作り

SDGsは国際的な課題だからと、カルタは英語で作ることになりました。

しかし、SDGsの考え方を大切にしながら「A」から「Z」までの英文をそろえるのは、想像以上に大変な作業でした。

「意味は最高だけど、文章が長い」など、時には議論が白熱することもありました。
互いのアイデアを認め合い、文章を磨いていった生徒たち。ひとつひとつの英文に、こだわりが詰め込まれました。

中でも特にこだわったのが「Z」の札の文章です。

Zero microplastics saves our ocean.」
(マイクロプラスチックをなくせば海の生命が救われる)

海洋汚染や生態系への影響などが問題になっているマイクロプラスチックは、生徒たちがSDGsに向き合うきっかけとなったJICAのワークショップで取り組んだテーマでもあり、強い思い入れがありました。

マイクロプラスチック

「マイクロプラスチックをなくそう」ではなく、「プラスチックをなくそう」と言いかえたら、子どもたちにも分かりやすいのでは?

 

でもそれだと問題が正確に伝わらないし、プラスチックそのものをなくすと今度は暮らしが不便になって、それこそ「持続可能」ではなくなるのでは?

 

わかりやすい表現とSDGsの考え方との両立を悩む中で、SDGsへの理解が深まりました。

自分の行動で、誰かの行動を変えることができる

1年をかけて、カルタはようやく完成しました。
その過程で生徒たちは、多くの学びや経験を得ていました。

生徒
「『X』のカードで、Xmasという単語から始めようとしたら、いろいろな宗教の考え方を取り入れたほうがいいよねっていう意見が出たり。たくさんのメンバーでカルタを作ったことで、考えがより柔軟で広くなった。いろいろな考え方があって、その中で何を大切にするかを学べました」

生徒
「もともとジェンダーの問題に興味があって、調べていくうちに私が知らないようなことも新たにいろいろ出てきて。『あ、こういうこともあるんだ』と調べられて思いが強まりました」

生徒
「今まで、争いとは違うかもしれませんが、熱い議論をしたことがなくて、避けていたんです。しっかり向き合う、誰かと自分の意見を交換して熱く語るということを初めて経験して、人生においてもすごくいい経験になりました」

変化は、生徒たちの周囲にも生じていました。

「私がSDGsカルタを作り始めてから、今までSDGsを知らなかった母がすごく興味を持ってくれて、家にいるときもSDGsの話をするようになった。洗剤を『環境にいいものにしなきゃ』と変えてくれたりしたんです。自分が行動することで、誰かが行動してくれる、変化を起こすことができるんだと思いました」

学びを実践に移すことの大切さを知り、動きだした生徒たち。
SDGsが目指す未来の実現に向けて、少しずつ変化を起こし始めています。

  • 田淵慎輔

    水戸放送局 記者

    田淵慎輔

    2017年入局。警察担当を経て、2年前からつくば支局で防災や科学技術などを幅広く取材。SDGsカルタを取材してから、自宅のゴミをしっかり分別するようにしています。

  • 横山紗也香

    水戸放送局 ディレクター

    横山紗也香

    2017年入局。茨城県出身。取材した県立竹園高校は母校。若者や外国人、ダイバーシティーなどをテーマに取材、番組を制作。

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